―日々の雑多な仕事に追われているうちに離職する人も少なくないと聞きます。

福田 世の中では「介護の人材不足」に対して、「3kの仕事」「給与が低い」といった論調で語られるケースが多いですが、実態は給与を少し上げたところで離職率は大きく変わらないと思います。

まずは、業務の非効率からくるスタッフ一人ひとりの負荷を改善することが第一歩ですね。その上で、給与を上げる事でより良い働き方ができると思います。

―業務効率のアップは現場スタッフにもメリットのあることですが、慣れたやり方を変えることへのアレルギーもありますね。

福田 今やっている業務を変えることに対するアレルギーは、どの業界でも多少なりともあると思います。介護業界のコアなサービスは「人」に対して提供しているものですから、ここを大きく効率化する必要はないと思います。

どちらかというと、それに付随する、サービス以外のノンコアの部分を徹底的に削減する。それによってできた時間は、より付加価値の高いサービスに費やせるようなり、たとえば、従業員のキャリアアップのための研修などに充てられるようになるわけです。

こういったことに時間を使える事業者は人が辞めにくくなります。よく「生産性を上げること」と「サービス品質」が逆相関するといった論調を聞いたりしますが、それはある程度徹底されたあとに起こる事象であって、今は生産性を上げれば上げるほど、介護品質が上がるフェーズなので、徹底的に取り組むことをお勧めします。

―誰でも簡単に使いこなせるものなのでしょうか。

福田 60~70歳代の方にも「カイポケ」を利用していただいています。当社では「カイポケフェスタ」などのイベントを通じて、介護業界の経営者のみなさまに向けて今後の法改正の流れやICTなどを活用した業務効率を改善している事例紹介や交流の機会を設けるなどもしています。

―士業介護経営支援協会も運営されていますね。設立の背景を教えてください。

福田 士業事務所と介護業界双方の発展に寄与することを目的に設立しました。あるメディアによると、税理士をはじめとする士業の方々の仕事がAIに置き換えられ、「なくなる仕事」としてランクインしていますが「今後、どう生き残っていくのか」のひとつの答えが「業種特化」だと思っています。

当協会では、専門性を高め介護業界に特化したい税理士などの士業の先生方に向けて、SMSが提供するソリューションの紹介や介護業界の知識を深めるようなメニューを用意し、情報提供を行っています。

―入会メリットを教えてください。

福田 3カ月に1回、定期的に勉強会を開催しているほか、一定の講習を受けると、「介護業界に特化した税理士ですよ」と当協会が認めるブランドを付与しています。

共催セミナーの開催や集客のサポートも行っており、一番メリットを感じていただけるのは、税理士や社労士の方々だと思いますが、介護業界に特化したい士業のみなさんに活用していただきたいですね。現在およそ60名の会員が在籍しています。

―介護業界からのニーズは都心と地方で違いがありますか?

福田 困っていることは都心も地方も同じです。人材や業務効率化を目指したIT化のほか、困りごととしては資金繰りですかね。

当社はファクタリングサービスも提供しており、介護報酬を流動化してお支払いする仕組みも持っています。

―今後の展望について教えてください。

福田 今進めている事業を愚直に拡張させていくことです。「ICTを使って業務効率を高めましょう」「クラウドのサービスを使って経営をよくしていきましょう」という話はよくありますが、実際のところ、「使いこなせるかどうか」が非常に重要です。

しっかりと活用度を上げていくこと。そして、世の中の構造変化を先んじて捉えることがわれわれの責務だと捉えています。法改正やそれにまつわる諸々の対策をシステムとして、提携先の事業者や士業の先生方に適切に提供し、お客様に価値を体感してもらうことですね。

士業介護経営支援協会も同様で、介護業界に特化したい士業のみなさんを牽引しながら、当会に参画いただくメリットを感じていただきたいです。

次々期の法改正がある4年後には構造的にも大きく変化があると予想しています。そのタイミングまでに士業の方との連携を強化し、全国的に拡大していく構想があります。

こうした活動がより多くの方にわれわれのサービスや取り組みを知っていただくきっかけになればと思っています。何か新しい価値を一緒に生み出す機会が生まれたらよりすばらしいですね。

株式会社エス・エム・エス
介護事業本部 本部長
福田升二

神戸大学大学院修了後、伊藤忠商事株式会社に入社。情報産業関連の部署に配属となり、海外を含めたインターネット関連の新規事業開発・投資業務に携わる。2013年1月にエス・エム・エスに入社。事業開発本部を経て、介護事業者向け経営支援サービス「カイポケ」や介護業界最大級の介護職向け求人情報サービスの「カイゴジョブ」、施設検索・入居紹介サービス「かいごDB」、介護家族向けの情報サービス「安心介護」などを中心とする介護領域全体を介護事業本部長として統括。また、子会社の代表取締役と「士業介護経営支援協会代表理事」「一般社団法人日本デイサービス協会理事」「トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社顧問」を兼務。

■株式会社エス・エム・エス
http://www.bm-sms.co.jp/

KaikeiZineは会計プロフェッショナルの活躍を応援するキャリアマガジンです。インタビューや取材を通じての情報発信をご希望の方はお問合せください。
取材・掲載は無料です。
お問合せはこちら