一生懸命仕事しているのに、ミスが減らず、上司に怒られる。人間関係がなぜだかうまくいかない。そして毎日落ち込んで帰路につく……。そんなあなたには、もしかしたら「発達障害」が潜んでいるかもしれません。今回は「大人の発達障害」について見ていきましょう。

「発達障害」は“脳の発達の偏り”

発達障害とは、簡単に言うと「脳の発達の偏り」です。得意なことと、苦手なことは誰にでもあるのものですが、発達障害のある人は、その偏りが他の人よりも激しいのです。原因ははっきりとはわかっていませんが、本人の生まれ持った素質、発育環境などが複雑に絡み合っているといわれています。性格や精神的な問題ではなく、脳の発達に問題があるのです。
発達障害は大きく分けて「注意欠陥多動症(ADHD)」と「自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASまたはASD)」の2つのタイプに分かれます。

●注意欠陥多動症(ADHD)
注意力、集中力が低下し、不注意のミスが多くなるタイプです。また、じっとしていられず、落ち着きのないのも特徴です。下記のようなことが挙げられます。

・計算ミスが多い
・ものごとを順序立てて考えられない
・集中力が低い
・作業の途中でぼーっとしてしまう
・片付けができない
・忘れ物、失くしものが多い
・じっとしていられない
・順番が待てない
など

●自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(AS/ASD)
「スペクトラム」とは、境界があいまいな一連のものを示します。2013年までは、「アスペルガー症候群」と呼ばれていたものも、このなかに含まれています。特徴としてはいわゆる「空気が読めない」人で、他者とのコミュニケーションがうまくいかないタイプです。

・言葉の使い方がおかしい(難しい言葉を使う、自分なりの解釈で使う)
・他人の気持ちへの共感能力が低く、自分の思ったとおりに突き進んでしまう
・距離感がつかめない
・相手の発言の意図が汲めない
・予定の管理ができない
・音や臭いに異常に敏感
・特定のものに強く執着する
など