大人になって気づく発達障害とは
「発達障害」というと、子どもの障害のように感じてしまいます。たしかに、知的な遅れがある場合などは、早期に気づくことができます。しかし、知的な遅れがない発達障害もあるのです。
前項で挙げた症状は、子どもの頃からあるはずなのですが、「やんちゃな子」「集中力のない子」などとして、子ども時代には見過ごされてしまうことが多々あります。特にADHDの場合、コミュニケーション自体にはあまり大きな支障を来さないため、見過ごされやすいのです。「ちょっと風変わりな子」でも、子ども時代は仲の良い友達だけでいることが許されます。
しかし、社会に出ると、やりたくないことや、多くの知らない人との交流が多くなります。その時になって初めてコミュニケーションや生活の中に不便さを感じる、ということがあるのです。細かい計算が全然できずに帳簿がつけられない、会社のデスクが片付けられない、なぜだか毎回取引先を怒らせてしまう、恋人とうまくいかない、ストーカー扱いされる……などなど。
それでも本人はまさか自分の脳に偏りがあるとは思わず、「自分が悪いんだ」と考えてしまい、自己評価がどんどん低下します。結果的にうつ状態を訴えて医療機関を受診し、発達障害が見つかる、というケースがほとんどなのです。
「できない自分」がつらいと思ったら
上記の症状があるからといって、100%発達障害とは言い切れません。しかし、仮に発達障害があったとしてそれに気づかず自己評価を下げ続けてしまうのでは、心の健康上よくありません。気になるようでしたら、精神科へ足を運んでみましょう。その際は、自分が困っていることを細かく医師に伝えることが大切です。
精神科のなかでも、発達障害についての知識をきちんと持っている医師に診てもらいたいものです。全国の都道府県にある「発達障害情報・支援センター」に相談窓口が設けられているので、まずはそこに相談してみるとよいでしょう。