中小企業や個人の運送会社が活用できる仕組み「ハコベル」

―大企業の物流では自社内でやっているところもありましたが、それを中小企業や個人の運送会社まで活用できるように仕組み化したのはすばらしいですね。

松本 非常に注目いただいています。ヤマトホールディングスさまとも業務提携をしましたし、かなり生産性が上がるサービスだと思います。まさに、中小企業の方に使っていただきたいですね。

「お客様に営業が届けます」といった物流網を持っていてトラックを何台も抱えている製造業などの企業は結構いると思います。ただ、本当に自社で抱える必要があるのかと。

中小企業のお客様が自社物流を捨てて、全部「ハコベル」にすると、トラックのメンテナンス費用がかからなくなり、そこに対する人件費も発生しなくなります。

必要なときだけ確実に必要なキャパシティが手に入るのであれば、物流機能そのものが事業の本流の付加価値じゃないなら、アウトソースすればいいんです。中小企業から一部上場の大手企業まで幅広くご利用いただいています。

―なぜ中小企業に光を当てようと思ったのですか?

松本 中小企業は大企業に比べると非効率なことが多くて、改善の余地があります。現状では、中小企業の生産性はあまりにも低い。ただ、武器になるツールを与えることによって、生産性を上げられます。

逆の言い方をすると、マーケットがそこにまだあるということです。本質的に日本の中小企業の生産性を上げていくことは、今後の日本経済にとって大きな課題だと思っています。

OECD(経済協力開発機構)のなかでも、日本人の生産性は最下位クラスです。アウトソースできる部分はするべきだし、IT化し、変えていくべき部分は変えていくべきです。

当社の「ラクスル」や「ハコベル」以外でも効率化をサポートするITツールを導入することで、社員一人あたりが使える時間が圧倒的に広がり、新しい仕事やより付加価値が高い仕事にフォーカスができるようになります。

生産性を上げるためにITツールやサービスの導入することとその活用は、非常に重要だと思います。

―最後に、今後の展望を教えてください。

松本 具体的に考えていることはまだお伝えできないのですが、引き続き中小企業の支援をしていきたいと思っています。ご利用いただいている中小企業さまは40万社を超えてきましたがさらに、ユーザーを増やしていきたいと思っています。

コストはもちろんのこと、今後は、売り上げを伸ばすところにも貢献していきたいですね。コスト削減に関してはITを導入すればコストは確実に減ります。手動で行っていたことをクラウド上で処理をするようになれば、生産性が自動的に上がってきます。

コスト削減の面においては、今あるツールをどんどん活用していただきたい。一方で、「じゃあ将来をどう描いていくか」「売上をどう伸ばしていくか」といった部分に対して応えるツールを持っている中小企業はあまりありません。

自分たちで売り上げを伸ばせるところは中小企業から中堅企業にその次は大企業にステップアップしています。だからこそ、なかなか売り上げを伸ばすことができないという課題を抱えている中小の企業のコストを削減し売り上げを伸ばすツールを提供するお手伝いをしていきたいと思っています。


 

ラクスル株式会社
代表取締役
松本 恭攝

1984年生まれ、富山県出身。 慶應義塾大学商学部卒業後、A.T.カーニーに入社。コスト削減プロジェクトに従事する中で、6兆円の市場規模がある印刷業界に効率化が行われていないことに注目し、インターネットの力で印刷業界の仕組みを変えるべく2009年9月にラクスル株式会社を設立。印刷会社の非稼働時間を活用した印刷のEコマース事業を展開する。その後、2015年12月からはトラック物流の運送マッチングサービス「ハコベル」事業も開始。

■ラクスル株式会社
https://corp.raksul.com/

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