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酒井克彦の「税金」についての公開雑談~節税目的の婚姻と配偶者控除~

婚姻の成立要件と無効

民法742条《婚姻の無効》2号は、「当事者が婚姻の届出をしないとき」はその婚姻を無効とするとし、「ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。」と規定しています。ここにいう民法739条《婚姻の届出》2項とは、「婚姻は、戸籍法…の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」とする1項の届出について、「当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。」とするものですが、この方式を欠いているだけであるときは、たとえ届出に瑕疵があったとしても、婚姻関係を無効とはせず、その瑕疵は治癒されるというのです。

このように考えると適法な届出であるか否かというのは、単に婚姻届出の有無やその形式のみならず、もう少し丁寧に見ておく必要があることに気づかされます。

さらに、民法742条1号は、「人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき」もその婚姻を無効であるとしています。すなわち、婚姻届出があったとしても、それが人違いであった場合などのように、当事者間に婚姻の意思がないときには、民法上、その婚姻は無効とされるのです。普通に考えれば、人違いで婚姻などするのでしょうか。過去にはそういったこともあったのかもしれませんが、少なくとも恋愛関係を経た婚姻が一般的な今日においてはなかなか想像しづらいような気がいたします。もっとも、この規定は、人違いを例示しているだけですから、重要なのは、「婚姻をする意思がないとき」に無効となるという点です。

例えば、婚姻意思がないのにもかかわらず、相続税を軽減させるためだけの目的で行った婚姻はどうでしょうか?婚姻意思が認められない限り、婚姻届出がなされていたとしても無効であるというべきでしょう。その際には、配偶者控除の適用はないと解されるわけです。もちろん、人違いで婚姻した場合にも配偶者控除の適用はありませんね。

著者: 酒井克彦

中央大学商学部教授 兼 法科大学院教授/法学博士

中央大学商学部教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第3版〕』、『クローズアップ保険税務』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法』、『裁判例からみる法人税法〔2訂版〕』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
http://fulcrumtax.net/

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