国税局調査部は、大規模法人に対する調査を担当しています。では、国税局調査部での国際調査体制はどうなっているのでしょうか。

東京国税局調査部の場合、国際課税を担当する部署は「調査第1部」に属し、大きく「国際調査課」、「国際情報第1課」、「国際情報第2課」の3つに分かれています。これらは「国際セクション」と呼ばれており、主に調査部の海外取引調査の支援、外国法人の調査、移転価格調査、移転価格に係る事前確認等の業務を行っています。

1 国際調査課

国際調査課は、調査部全体の海外取引調査の取りまとめ、国際調査の企画・運営、海外税務当局との情報交換の窓口などを担当しています。

また、調査第2部から第4部までの海外取引調査を支援する海外取引支援チームや、調査部全体の国際事案の審理・相談を担当するサポートチームなどを擁しています。

調査担当部署としては、複雑・困難な国際調査事案を担当する「主任国際税務専門官」、外国法人のうち主にグローバルな展開を図っている金融機関の調査を担当する「特別国税調査官(外国法人担当)」、それ以外の外国法人等の調査を担当する「外国法人調査第1〜第3部門」が設置されています。

また、専門性が高い国際金融分野へ対応するために、外部から外資系金融機関等に勤務経験のある者を任期付きで国際税務専門官として採用し、調査の支援や金融取引の解明などを行っています。

2 国際情報第1課

国際情報第1課は、移転価格税制(TP)を取り扱う部署で、調査部全体のTP事案の窓口となっています。また、移転価格の調査対象事案を選定するため、法人税確定申告書の別表17(4)「国外関連者に関する明細書」の内容のデータベース化等を行っています。

調査担当部署として、特官室所掌法人の移転価格調査を担当する「特別国税調査官(移転価格調査担当)」、調査第2部~第4部が所掌する法人の移転価格調査を担当する「国際情報第1〜第3部門」が配置されており、移転価格に特化した調査を行っています。複雑・困難な移転価格事案では、調査期間も数年かかるような長期にわたる事案もあります。

3 国際情報第2課

国際情報2課は移転価格に係る事前確認(APA:Advance Pricing Agreement)の業務の窓口となっており、APAの審査事務、事前相談などを行っています。また、APAの提出件数の増加、複雑化などに対応するため、平成23年7月に「主任国際情報審理官」が新設されました。

「主任国際情報審理官」は、複雑・大規模なAPA事案の審査事務を行っており、1件当たり、長いものでは3〜4年の審査期間となっています。

企業としては、移転価格で長期の調査を受けるよりAPAによる当局からの確認(事前確認の内容に適合した申告である場合、事前確認を受けた国外関連取引は独立企業間価格で行われたものとして取り扱われる。)を受け、移転価格課税リスクを回避する方が得策とのニーズから、近年APA業務は拡大傾向にあります。

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租税調査研究会事務局
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