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酒井克彦の「税金」についての公開雑談~世界の男性人口35億?~

タレントのブルゾンちえみさんが発する「35億」が2017年度の流行語となりました。世界中には35億もの男性がいるというネタですが、国際連合の発表によると、2018年1月1日の世界人口の推計は、約76億(7,632,819,000)人 、そのうち、男性は3,850,719,000人だといいます(* 1) 。したがって、同日現在では「38億」が正しいことになりそうですが、今回は人口が地方税収について与える影響を考えてみましょう。

地方における人口減少と地方税収入

周知のとおり、世界人口は上昇していますが、超少子高齢社会の日本に限っていえば減少傾向にあります。
人口減少は、税収に直接影響を及ぼすファクターです。特に、地方における人口減少は、地方自治体が抱える重要な問題の一つであるといえましょう。

この点につき、みずほ総合研究所が、人口の減少が及ぼす地方税収への影響を調査しています。かかる調査結果をまとめた「人口減少が地方財政に与える影響~地方税制見直しの視点~」(2006年)では、地域別の人口の変化と地方の基幹税目の税収額の増減についての相関を確認しています。

その結果、人口が減少すると税収も減少するという関係が示唆され、また、人口と税収との関係において税目ごとに差異があることが認められるというのです。上記の国際連合のデータと比較すると少々古い資料ではありますが、人口減少がもたらす地方税収への影響は現在においても変わるところはないと思われます。

人口減少の影響を受けやすい税目・受けにくい税目

同調査では、人口減少(納税者減少)の影響を受けにくい税目として、固定資産税が優れているとしています。これに対して、個人住民税は、納税者の絶対数の減少により大きく影響を受けます。法人に課される税や、地方消費税も人口減少の影響を受けますが、その程度は個人住民税よりは小さいと考えられています。

また、人口減少の中では、地域間の税収格差も重要な問題となります。地域的な偏在性が少ない税目としては、課税対象の一人当たりの地域格差が小さい地方消費税が優れているといわれています。他方で、法人に課される税は、法人の所在地に偏りがあることから地域格差が大きく表れやすいといえましょう。なお、景気変動による影響が小さい税目としては固定資産税が優れており、逆に法人事業税は景気変動に伴う税収の振幅が大きく安定性に欠けると解されます。

今後も加速する我が国の超少子高齢社会における地方税のあり方として、個人住民税などでは、納税者数の減少に伴う税収減を税率調整によって補うことが考えられます。しかしながら、一人ひとりの住民の租税負担の増加を伴うこの方法は、必ずしも現実的な対応とはなりにくいものと思われます。むしろ、課税する地域の範囲を広域化することによって、税収が大きく不足する自治体を支援できる体制を整えることが有効な解決策になると考えられると指摘されているのです。

ブルゾンちえみさんの35億のネタは、「花は蝶が来るのを待つの」として、「イイ女」は男性が近寄ってくるのを焦らず待っていればよいという流れですが、人口減少問題を抱えている地方自治運営を考えた場合、人口減少は座して待っているわけにはいかない喫緊の課題であり、積極的な解決策の導入が望まれるところです。


(*1)https://esa.un.org/unpd/wpp/dvd/Files/1_Indicators%20(Standard)/
EXCEL_FILES/1_Population/WPP2017_POP_F01_1_TOTAL_POPULATION_BOTH_SEXES.xlsx

著者: 酒井克彦

中央大学商学部教授 兼 法科大学院教授/法学博士

中央大学商学部教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第3版〕』、『クローズアップ保険税務』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法』、『裁判例からみる法人税法〔2訂版〕』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
http://fulcrumtax.net/

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