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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:海外取引と納税管理人② 所得税と納税管理人

日本企業に勤めている社員が海外勤務となった場合等で、国内不動産の賃貸収入などがあれば、納税管理人を選任して確定申告書を提出することとなります。では、確定申告書を提出しなければならない者が納税管理人を選任しないで出国してしまった場合、どのような影響があるのでしょうか。

■どのような場合に納税管理人が選任されるのか

海外勤務等により非居住者となる個人は、海外に出発した後、日本国内で生じた所得(「国内源泉所得」といいます)を有するときは、日本で確定申告が必要となるケースがあります。このように日本で確定申告書の提出等の必要があるときに納税管理人が選任されます。

例えば、次のような場合に納税管理人が選任されます。

○日本国内の不動産所得を有する場合

非居住者が、国内にある不動産の賃貸による不動産所得を有する場合、確定申告が必要となります。

○日本国内の不動産を売却した場合

非居住者が、国内にある不動産を売却して譲渡所得が生じた場合には、確定申告が必要となります。

■納税管理人を選任するか否かで、取扱いが異なるケース

確定申告書を提出しなければならない者が納税管理人を選任しないで出国してしまった場合、どのような影響があるのでしょうか。

納税管理人を選任するか否かで、確定申告書の提出期限や、配偶者控除や扶養控除の判定時期が異なるので注意が必要です。

 

1 確定申告書の提出期限の違い

確定申告書を提出する義務のある者(例えば、不動産所得のある者)が、年の途中で出国する場合、その出国の時までに確定申告を行わなければなりません。これを「準確定申告」といいます。

ただし、所得税法では、「出国」とは『居住者が納税管理人の届出をしないで日本国内に住所及び居所を有しなくなること』をいうとされています。したがって、納税管理人を選任したときは、所得税法上の「出国」に当たらないため、通常の確定申告期限である翌年の3月15日までに申告すればよいこととなります。

 

2 配偶者控除や扶養控除の判定時期の違い

親族等が控除対象配偶者又は扶養親族に該当するか否かの判定時期については、居住者の場合、原則として、その年の12月31日の現況によることとされ、その者がその年の途中において死亡又は「出国」する場合には、その死亡又は出国の時の現況によることとされています。

ただし、ここでいう「出国」とは、上述の通り、『居住者が納税管理人の届出をしないで日本国内に住所及び居所を有しなくなること』をいいます。したがって、居住者が年の途中で海外勤務により非居住者となった場合、親族等が控除対象配偶者や扶養親族に該当するか否かの判定時期は、納税管理人の届出を提出しているか否かによって次のように異なります。

イ 納税管理人の届出をして離日した場合 → その年の12月31日

これは、納税管理人の届出をすると、所得税法上の「出国」に当たらないため、原則通りその年の12月31日の現況で判断するからです。

ロ 納税管理人の届出をしないで離日した場合 → 出国時

■具体例で確認

 

【ケース】

社員Xは、1年以上の予定で海外勤務となり本年4月に赴任しました。Xは日本国内にある不動産の貸付による所得があるため、確定申告が必要となります。いつまでに確定申告しなければならないのでしょうか。

また、Xは海外赴任後の9月に結婚し、配偶者を有することとなりました。配偶者には所得はありません。この場合、Xは本年分の確定申告を行う際、配偶者控除の適用を受けることはできるでしょうか。

 

【検 討】

納税管理人の選任の有無により、以下のように取り扱いが異なります。

実務上、出国の時までに準確定申告することは困難なことが多いため、納税管理人の選任をするのが一般的といえるでしょう。

 

 

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租税調査研究会事務局
tax@zeimusoudan.biz

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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