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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:移転価格課税・寄附金課税を受けないためのチェックポイント

最近では中堅・中小企業においても、移転価格課税や寄附金課税を受けるケースが増えています。では、移転価格課税や寄附金課税を受けないようにするには、どのような点をチェックする必要があるのでしょうか。

□ 国外関連者の営業利益率は高すぎないか。

移転価格上の問題があるかどうかを判断する上で重要なのが国外関連者の「営業利益率」の水準です。国外関連者と取引している個々の商品の価格自体の適否を個別に検証することは現実的に困難であることから、移転価格上の問題があるかどうかを判断するため国外関連者の営業利益率が高すぎないかを検討します。例えば、国外関連取引における日本の営業利益率が7%であるのに対し、国外関連者の営業利益率が20%であれば、日本の所得が海外に移転しているのではないかと疑われます。

もし、国外関連者の営業利益率が高い場合には、それを正当化できる根拠(例えば、海外子会社が製造ノウハウや販売網などの無形資産を保有している等)を準備しておく必要があります。

□ 海外子会社に社員を出向させている場合、海外子会社が負担すべき給与を親会社が負担してないか。較差補填金や留守宅手当を支払っている場合、金額は過大ではないか。

税務調査では、海外子会社が負担すべき金額を親会社が負担していないか、という観点からチェックされます。出向社員と同様の業務を遂行し、同程度の役職の現地採用の社員の給与相当額を海外子会社で負担しているか確認する必要があります。また、出向契約書に給与の負担関係を明記するとともに、現地採用者の給与テーブルなど現地での給与水準を説明できる客観的な資料を準備しておく必要があります。

□ 親会社の社員が海外子会社に出張して技術指導などを行った場合、海外子会社から対価を回収しているか。回収している場合、対価の算定方法は適切か。

親会社が海外子会社に対し、「本来の業務に付随した役務提供」を行う場合、海外子会社から、少なくとも当該役務提供に要した総原価の額を対価として収受する必要があります。総原価の額の算定に当たっては、原則として、当該役務提供に関連する直接費のみならず、合理的な配賦基準によって計算された担当部門及び補助部門の一般管理費等間接費まで含むこととされています。

□ 海外子会社に対する貸付金がある場合、適正な利率で利息を回収しているか。

移転価格事務運営要領に定められている方法に沿って利率が決められているか確認します。特に外貨建てで貸し付けている場合は、円の金利水準ではなく、当該外貨の金利水準と比較する必要があります。

□ 海外子会社へ製造技術等の無形資産を使用許諾した場合、対価であるロイヤルティを回収しているか。

親会社が海外子会社に対して製造技術等を提供している場合、その対価を回収する必要があります。親子間で棚卸取引がある場合には、製造技術等の対価を製品価格等に含めて回収することができますが、部品等を現地調達し直接現地市場に販売するといった外‐外取引が行われる場合には、製造技術等の提供の対価は、ロイヤリティという形で海外子会社から回収する必要があります。

□ 海外子会社に対する赤字販売はないか。

一般的に赤字販売は異常な取引であり、グループ間取引において赤字販売が行われている場合には、利益に付け替えや子会社の財務支援のための価格操作が疑われます。

□ 海外子会社との契約に定めている金額を回収しているか。

例えば、海外子会社との契約書で「○%の利息を収受する」「売上高の○%のロイヤリティを収受する」などと定めている場合には、契約通りの金額を収受しているか確認します。例えば、海外子会社が赤字であるという理由で、契約に定めた金額を回収していない場合、国外関連者に対する寄附金と認定される可能性があります。

また、海外子会社との間で費用負担についての合意がある場合(例えば、広告宣伝費の負担割合について合意がある場合など)、合意に沿った費用負担となっているか確認します。親会社が合意を上回る費用負担をしている場合には、国外関連者に対する寄附金と認定される可能性があります。

 

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租税調査研究会事務局
tax@zeimusoudan.biz

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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