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大阪国税局が資産移転で3億円追徴 韓国大手銀行の口座情報などから分析

国税当局が納税者の海外資産の把握に力を入れている。今年事務年度(平成27年7月から同28年6月末)の実績評価にも盛り込まれているが、海外に財産を逃がし、無申告の輩に対しては厳重な監視体制で臨んでいる。さきごろ、近畿在住の在日韓国人が新韓銀行の口座で管理していた財産については、3年で約15億円の申告漏れを指摘した。

マスコミ報道によれば、韓国の大手銀行「新韓銀行」(ソウル)の株を保有する近畿在住の在日韓国人らが、大阪国税局の税務調査を受け、平成25年までの3年間で受取配当金など計約15億円の申告漏れを指摘されたという。過少申告加算税を含む所得税などの追徴税額は約3億円で、大半が修正申告したようだ。

国税庁では、今年度の方針として、資産家の海外資産の把握に力を入れており、租税回避行為について各国と連携しながらチェック体制を強めている。

JITSIC(Joint International Tax Shelter Information Centre:国際タックスシェルター情報センター)においては、他国(米・英・豪・加・韓・中・仏・独)との間で国際的租税回避スキーム及び富裕層に関連した情報交換要請への対応や調査手法等の知見の共有に取り組んでおり、平成25年度には情報交換を25回行っており、同26年度は更に増加傾向にある。

こうした情報交換とチェック体制のもと、今回の税務調査のケースでは調書や、韓国との租税条約に基づいて提供された口座情報などを精査した結果、過少申告が判明した模様だ。

申告漏れを指摘されたのは関西のパチンコ関連企業の経営者ら数人。新韓銀行の口座で管理していた同行株式の配当や株の売却益、預金の利息を日本で申告していなかったもようだ。韓国で納税していたため、日本で納税義務があるとは知らなかったのが原因という。

 

日本国内の居住者は国籍を問わず、国内外の資産や所得が日本で課税対象になる。昨年からは、毎年末に5千万円を超える海外資産を保有する国内居住者に対し、国外財産調書を税務署に提出することを義務づけた。

従来は、国外での調査権限を持たない国税当局は富裕層が国外で得た資産や所得を把握するのが難しかった。今回は日韓の租税条約により提供された銀行口座の情報と、国外財産調書を照らし合わすなどして所得を把握した。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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