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行き過ぎた酒の安売り規制で第3のビールも値上げか

6月1日の通常国会閉会後の記者会見で安倍総理が消費税増税を2年半延期することを明らかにしたことから、来年4月以降も飲食料品等についての価格は据え置きになると安堵している者も少なくないだろう。しかし、こと酒類に関してはそうはいかなくなるかもしれない。というのも、街の酒屋さんを守るため酒類の行き過ぎた安売りを規制する法改正がこの5月27日に成立したからだ。

酒類の行き過ぎた安売りを規制する「酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案」という。)の提案理由は、酒税の保全及び酒類の取引の安定とともに、酒類の適正な販売管理の確保を図るための所要の整備を行うためとされているが、具体的には、近年の酒類の段階的な規制緩和に伴い、ディスカウントストアやスーパー、ドラッグストアといった店舗でも酒類販売免許の取得等が容易となったため販売価格の引下げ競争が激化し、規模の小さい町の酒類小売店などが軒並み経営を圧迫され潰れていることから、仕入れ価格を割るような安売りに対して規制を掛けることが大きな目的。酒類業界団体から要望も出され、衆議院財務金融員会において全会一致で委員長名により提出された議員立法で、5月10日に衆議院財務金融委員会で提案され、5月27日に参議院本会議でスピード成立した。

20年で街の酒屋が半減

酒類を販売するには、酒類販売免許が必要となるが、平成7年3月に閣議決定された規制緩和推進計画により、酒類小売免許基準を緩和の方向で見直すとされ、まず平成10年9月から人口比率によりその地域の酒類の販売免許数を決める「人口基準」が段階的な緩和が行われ、平成15年9月に廃止された。さら、既存の酒類小売店がある場合には一定距離内に酒類小売店を出店できないとする「距離基準」が平成12年9月に廃止となった。

この規制緩和で酒類販売店が増加し販売競争の激化に繋がったことから、平成15年に自民党の衆議院議員らによる議員立法として酒類小売業者の経営の改善及び転廃業の円滑化を目的とした「酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法」が成立し、規制緩和による酒類の需給バランスの不安定地域に関しては、所轄の税務署長が「緊急調整地域」に指定した場合、その地域での酒類小売業免許の新規付与や域外の酒類小業者の移転許可が原則認められなくなった。しかし、この法律は平成17年8月末までの時限措置とされていたことから、1年間の延長が行われたものの翌年8月には法律が失効、完全自由化となった。

その後は周知のとおり、コンビニエンスストアやスーパーなどに加えてドラッグストアやホームセンター、家電量販店でも酒類を販売するようになるとともに、価格の値下げ競争もさらに拍車が掛かり、平成3年に11万店あった街のお酒屋さんの件数は、20年後の平成23年には6万店を切っている。今後も「人気のある酒類を取り寄せているといった差別化を図るなどの酒店を除いて消滅の一途を辿りのではないか」(業界記者)との話も出ている。

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