法人消費税不正還付の追徴税額25億円

法人消費税については、法人税との同時調査等として7万4千件に対して実施され、非違があった4万4千件から非違が見つかり723 億円を追徴しているが、近年国税当局が目を光らせているのが虚偽の申告や課税売上げを免税売上げに仮装する不正還付事案。消費税の不正還付については「国庫金の詐取ともいえる悪質性の高い」(国税庁OB)行為であることから、国税庁では厳正な調査を実施していくこととしている。

2019事務年度では、不正還付が見込まれる5838件に実地調査を実施し、このうち707件の不正を含む3334件から非違が把握された。追徴税額は213億円(うち不正還付分25億円)と21.8%も増加した。また、調査1件あたりの追徴税額も364万円と36.7%増となっている。

不正事案としては、日用品や化粧品、雑貨等の販売及び輸出を営む法人Dは、消費税の多額の還付申告書が提出されたことから、実態確認のため行政指導が行われた結果、取引実態に不審な点が把握されたことから実地調査に移行された。その結果、調査法人は消費税の還付金を不正に受領することを目的として、様々な方法により収集したレシートとEMS(国際スピード郵便)伝票を組み合わせることで、輸出取引を行っている体裁を整え、架空の課税仕入と免税売上を計上している事実を把握し、3年分の消費税と重加算税等2億円を追徴している。

国税当局では、消費税の適正課税の確保は重要課題と認識しており、消費税調査に的確かつ重点的に取り組んでおり、特に架空取引や輸出物品販売場の悪用等による不正還付には目を光らせていて、不正還付と判明した場合には厳正な対処を行うこととしていることから、“気づかれないだろう”や“ここまでは調べないだろう”との甘い考えは後で痛いしっぺ返しがくることを肝に銘じていたほうが良い。

 

図表出典:令和元事務年度法人税等の調査事績の概要(国税庁)


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