■住宅取得等資金の贈与税の非課税制度とは

親や祖父母から自宅の購入や新築、リフォームの資金をもらったら、一定額まで贈与税がかからない制度です。非課税枠は令和3年度税制改正を受け、令和3年3月現在、次のようになっています。

1.自宅の新築・購入・リフォームにかかる消費税率が10%

2.1以外

実際の非課税枠は「上記の金額+110万円(暦年課税)または2500万円(相続時精算課税)」です。最大4千万円まで、非課税で親や祖父母から購入資金を受け取れます。

しかしメリットの大きい一方、次のような細かい条件が設けられています。

  1. 受贈者は贈与を受けた年1月1日時点で20歳以上
  2. 贈与を受けた年の合計所得金額は2千万円以下
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに受け取った資金全額を自宅の新築・購入・リフォームに充てる
  4. 家の床面積は50㎡以上240㎡以下、かつ1/2以上を自分の住まいとする

2と4は住宅ローン控除と同様、令和3年度税制改正で緩和されました。今年の4月1日以降、「合計所得金額1千万円以下」かつ「家の床面積40㎡以上240㎡以下」ならば、非課税にできます。所得800万円の人が床面積45㎡の家を買うべく資金1千万円をもらっても、贈与税0円にできるわけです。

ただし、この優遇を受けるなら、お金をもらった翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告をしなくてはなりません。申告をしないと非課税にならないのです。

【参考】住宅取得等資金の贈与税の非課税(国税庁)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

■ダブルで使えるけど控除額に注意

「借りる」にせよ「もらう」にせよ、軽い負担で家を買えます。中には、住宅ローン控除と住宅取得等資金の非課税制度を同時に使う人もいます。ダブル適用は非常にお得です。ただしこの場合、

「家の購入に充てたローン部分だけが税額控除になる」

という点には注意しなくてはなりません。

  • ●「住宅ローン残高>購入額」だと「購入額×1%」が控除額に

先ほど「年末の住宅ローン残高×1%」が控除額、とお伝えしましたが、これは「住宅の購入額>住宅ローン残高」という一般的なケースの話です。

もし購入額を超えるローンを組んだのなら、控除額は「住宅の購入額×1%」です。購入に充てなかった部分のローンは控除対象になりません。「お金を借りて家を買ってもらう」のが住宅ローン控除制度の目的だからです。

  • ●住宅取得等資金は住宅ローンに優先して購入に充てる

住宅取得等資金をもらい、同時に住宅ローンも組んで贈与税・所得税・住民税で優遇を受けるにはどうしたらよいでしょうか。結論から言うと「もらったお金を先に購入額に充て、残りを借りたお金でまかなう」という形を取ります。購入に充てたローンだけが控除対象になるので、このケースでの控除額は「(住宅購入-住宅取得等資金)×1%」です。

「住宅ローンを全額購入額に充て、親や祖父母からもらったお金を残りに充てる」でもいいのですが、この形だと贈与税の非課税は受けられません。非課税の条件の一つが「もらったお金を全額購入に充てる」だからです。

そのため、ダブル適用のときの住宅ローン控除額は「(住宅の購入額-住宅取得等資金)×1%」になることが多いはずです。ただ、損のないようにローンを組めば「年末のローン残高×1%」もできます。