「仕事寿命」が伸長
さて、年齢についての考え方は様々です。そもそも「平均寿命」と「健康寿命」は違いますね。
2016年のデータになりますが、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳です。
これに対して健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳です。
「健康寿命」とは、心身ともに自立し健康的に生活できる期間としてWHO(世界保健期間)が提唱しているものさしです。平均寿命との差の期間は、心身あるいは健康的な問題で日常生活に制限があるという期間で、平均で9年~12年もあるということです。(出典:公益財団法人 生命保険文化センター)
こう考えてみると「仕事寿命」とか「ゴルフ寿命」とか「恋愛寿命」とか、あらゆるジャンルで寿命がある気がしますね。
政治家や経営者が高齢で頑張っている、という話は「仕事寿命」が長くなっている、ということですね。
税理士の世界においては、以前のコラム「第8回-残る会計士、消える税理士」で税理士の高齢化を指摘しました。税理士試験の合格者に占める41歳以上の比率が、10年前は20%だったのに対して、現在は倍近い36%にまで上昇しています。
「高齢化」というワードで切り取るとネガティブですが、「仕事寿命が長くなった」という観点から見ると、必ずしも悲観すべき状況ではないのかもしれません。(独立して成功している税理士にとっては、ですね。)
公認会計士も同様ですね。
監査法人で働く公認会計士は組織人でありサラリーマンですので65歳で定年を迎えます。ですがその後は上場企業の監査役として70歳過ぎまで働く方が多いです。こちらも、仕事寿命が長くなっている傾向にあると言えます。
人生のマルチステージ化を生き抜くヒント
寿命の話題となると、どうしても避けて通れない一冊があります。
ベストセラーにもなりました「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン、 アンドリュー・スコット著/東洋経済新報社)」です。
これまでの多くの人々は「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を歩んできましたが、寿命が伸びれば70代、80代まで働くことが当たり前になるため、多様な仕事のステージを渡り歩く「マルチステージ」の人生を歩む必要が出てきます。
この本では、そのマルチステージを前提とした100年ライフを生きるために必要となる、お金に換算できない「無形の資産」を以下の3つと定義しています。
①生産性資産
長年かけて培ってきたスキルや知識など、生産性や所得を向上させるために役立つ資産。マルチステージの人生のためには、生涯を通じて新しいスキルや専門技能を獲得し続けることが重要になる。
②活力資産
肉体的・精神的健康や、友人や家族との良好な関係など、人に幸福感をもたらし、やる気を掻き立てる資産。健康は長寿化において価値を増す一方であり、中でも明晰で健康な脳を保つことは大きな意味を持つ。
③変身資産
人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のこと。マルチステージの人生で、自らの再創造(リ・クリエーション)を続けるための対処能力を促す要素とも言える。
健康、栄養、医療などの分野におけるイノベーションによって平均寿命が上昇し、長寿というものが人類にとって「贈り物」となった時代に、「どう充実した人生を生きていくか?」について大きなヒントを与えてくれる本ですね。



