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【今だから話せる国税のウラ舞台①】 元国税局徴収部次長 中島洋二税理士 「滞納は絶対逃さない国税徴収官」 

・・・通常、捜索は何人ぐらいで動くのですか?

中島 税務署で行うときは通常、単独あるいは2人程度です。国税局の場合は、銀行からすべて調べますので、少なくても20~30人で動きます。多いときだと70~80人。私が徴収部次長のときは、40人規模の事案を年間5~6件はやっていました。一気に捜索しないと、債権などは別の場所に移されてしまいます。

・・・徴収部門は、財産でなければ差押さえができないそうですね。

中島 ハイ。昔こんなことがありました。顧問税理士が滞納者に、財産をどこかに動かすよう指示したFAXのメモを見つけたんです。これは財産を隠している十分な証拠になるメモです。ですが、このメモは財産ではありません。つまり、徴収官としては差し押さえることができないわけです。もし、このFAXのメモを証拠として残したいなら、滞納者の了解を得てコピーをとらせてもらうか、貸してもらうしかありません。財産を隠している証拠になるわけですから、コピーも無理ですよね。

・・・そういえば、今年2月、東京国税局が差押えたロールスロイス・ファントムが国税庁のネット公売に最低価格約1千万円という値で出品されていました。すぐ売れればいいのですが、売れない場合、どうするのですか。

中島 売れるまで、値を下げながら出品していきます。国税当局としては、なんとか滞納している部分の補填にまわしたいと考えています。もし、売れ残ってしまったら、差押さえ財産を解除します。不動産なんかでも、本当に良い土地はすぐに売れますが、山などはそうもいきません。解除されると滞納者に戻ります。

・・・国税徴収官は「滞納は絶対に逃さない」との意気込みで取り組んでおり、ロックオンされたら、ほぼ逃げられないと聞きます。

中島 大切な国の台所を預かっているわけですから、滞納は見逃せません。ただ、基本的には、多くの方が納税するお金がなく、やむにやまれず滞納しているケースはほとんどです。こうした方に対しては、無理なく納税できるように計画をアドバイスしたり、納税猶予などの相談にも乗っています。一方で、お金があるのに払わない人には、厳しく対応し捜索などしていきます。とくに、こうした悪質案件は、国税局が担当するのですが、どこまでも粘り強く、時間を掛けて回収します。というのも、国税局の徴収案件は、会計検査院が後で中身をチェックします。中途半端にはできないのです。もし、最終的に徴収できなければ「滞納処分の執行停止」ということになるのですが、この執行停止の判断も大変です。滞納者本人がおカネを持っていなくても、第二次納税義務についても十分に検討して判断します。納めてもらうはずの税金ですから、それを徴収するのは当然なのですが、滞納整理は慎重かつ根気強くやるので「絶対に逃がさない」と恐れられるのです。

・・・徴収事務においても、納税者とのやり取りを記録として残す「質問応答記録書」みたなものは作成するのですか?

中島 全部残します。徴収関係の事務をやるときに、まず日々の日記のような記事を詳細に残していきます。滞納者と会えば、そのやり取りも残します。別に応答記録書を作るときもありますし、作らなくても全部記事に残します。昔は全部手書きでした。これは裁判になったときの証拠資料になります。個人的な意見ですが、昔のように全部手書きでメモした資料のほうが、証拠価値が高かったと思います。今は、上司に出すときに、きれいに清書してから提出します。うまくまとめようとすると、ありのままを残せないので、逆に証拠資料としての価値が薄れてくる。やはり、現場の様子をありのまま残していくスタイルのほうが良いと思います。

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