お中元シーズンがやってきた。最近では、上司などにお中元を贈る人も少なくなったが、法人間では、礼儀としてお中元を贈るケースが多い。お中元も損金で落としたいのが本音。中小企業なら800万円基準も使えるが、資本金が1億円を超えると注意が必要だ。
仕事関係でお中元を贈る場合、ある意味では品格が問われる。定番商品はもちろんのこと、相手のことを考えたオリジナリティ、バリエーションというのも好まれる傾向にあるようだ。
そもそもお中元は、中国で神を祭る行事(7月15日)と仏教の盂蘭盆会が混ざり、先祖の霊を供養する時期に贈り物をするようになったとのこと。贈り物をするようになったのは江戸時代といわれ、下級武士が上司である組頭に贈り物をする習慣がそのまま現在まで引き継いでいる。
以前は、東日本においては7月初めより中頃までの間を、西日本では1カ月遅れの8月初めより中頃までの間を贈答時期としていましたが、現在ではいずれの地方も7月初めより中頃まで(土用の入り前までに)の期間内に贈ることが一般的だ。うっかり忘れて時期を逸した場合は、暑中見舞い・残暑見舞いとして贈る。
中小企業は800万円までOK
ところで、会社が取引先などに贈るお歳暮は、運送代を含め原則「交際費」扱いだ。税務上の交際費は、「得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対し、接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用」。資本金1億円以下の中小法人なら、年間800万円までなら損金算入できる。
一方で資本金の額が1億円超の大企業の場合、平成26年4月以降は、「交際費等のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く)の50%に相当する金額が損金算入できる。
ただ、この50%基準は、「飲食費」に限っており、お中元等は含まれないので、「ついつい入れてしまった」ということにならないように注意したい。
また、交際費といえば企業規模を問わず「5千円」以下なら損金算入できるが、こちらもお中元に流用してはならない。この5千円基準はあくまで「飲食費」に限って認めている措置。つまり、お中元は「おくりもの(贈答)」であり、飲食ではないから、税務上はその金額に関係なく単純に交際費として処理することになる。
工夫次第で損金算入
企業規模を問わず、お中元を損金算入するには、お中元とならないように処理することだ。飲食物などではなく、「広告宣伝費」になるように工夫するのだ。税法上、交際費にならないものとして、「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用」が上げられている。「これらに類する物品」とは、「多数の者に配布することを目的とし主として広告宣伝的効果を意図する物品でその価額が少額であるもの」だ。そのため、社名の入ったカレンダーや手帳、タオル、ライターやボールペンなどをお中元として取引先などに送っても、「これらにかかる費用については広告宣伝費として差し支えない」(当局)。