(2)検討
本件通勤定期相当額は、請求人が自動車通勤者に対して通勤手当として支給したものであるところ、本件通勤定期相当額のうち本件各課税期間の課税仕入額に算入されるのは、本件自動車通勤者の通勤通常必要額である。
そして、本件自動車通勤者のうち通行料等を支払って通勤する経路の者はいなかった[3]ことからすると、上記(1)の解釈によれば、本件自動車通勤者の通勤通常必要額は、当該通勤者が負担することとなる本件各自動車のガソリン代のみとなり、本件各自動車の取得、維持又は管理に係る費用である自動車リース料等、自動車税、任意保険料及び車検費用は通勤通常必要額に含まれないといえる。
以上を前提に、当審判所において、本件通勤定期相当額のうち本件各課税期間の課税仕入額に算入される金額(すなわち、使用された自動車のガソリン代)を試算すると、本件非課税通勤手当金額を下回るから、請求人計算非課税限度超過額は、本件各課税期間の課税仕入額に算入されない。
[3] 審判所の認定事実による。
(3)請求人の主張の排斥
請求人は、自動車による通勤者は自動車がなければ通勤できないから、本件自動車通勤者の通勤通常必要額には、各人の通勤に係る本件各自動車のガソリン代のほか、本件各自動車に係る自動車リース料等、自動車税、任意保険料及び車検費用が含まれ、これらの費用も課税仕入額に算入されるべきである旨主張する。
しかしながら、上記(1)及び(2)のとおり、本件各自動車に係る自動車リース料等、自動車税、任意保険料及び車検費用は、通勤通常必要額に含まれない。
なお、課税仕入れとは、取引の相手方にとって課税資産の譲渡等に該当することとなるもの(すなわち、当該相手方が消費税を負担する取引)に限られるところ(消費税法第2条《定義》第12号)、消費税法上、非課税取引に該当する任意保険料の支出(同法第6条《非課税》第1項、別表第1第3号)や、資産の譲渡等の対価ではなく不課税取引に該当する自動車税の納付については、そもそもそれらの相手方にとって消費税の負担がないから、その意味においても、本件各自動車に係る自動車税及び任意保険料は、課税仕入れに係る支払対価には該当し得ないものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。



