暗号資産事案に全国初の有罪判決
告発された査察事件の地裁(一審)判決の状況は、令和2年度中に87件の判決が言い渡され、1件を除く86件に有罪判決が下された。また、このうち特に悪質な脱税者であるとして実刑判決が下されたのは6人で、1件当たりの犯則税額は5700万円、懲役月数は14.1月、罰金額1300万円となっている。実刑判決で最も重いものは、査察事件単独に係るものが懲役2年6月で、他の犯罪と併合されたものが懲役3年だった。
この中では、全国で初めて暗号資産事案に有罪判決が下されている。これ事案は、ビットコイン等の暗号資産の取引を行い、多額の利益を得ていたが、同取引に係る利益を申告から除外して所得税約7700万円を免れたもの。判決では、所得税法違反の罪で懲役1年(執行猶予3年)及び罰金1800万円の判決を受けている。
また、脱税を助け容易にした協力者に対して法人税法違反の幇助犯(査察事件単独・再犯者)として、こちらも全国で初めて実刑判決が下されている。この事案は、乙はD社及びE社が法人税を免れた際、その情報を知りながら、D社及びE社から架空の雑損失又は不動産手数料名目で自身が代表者を務める会社名義の預金口座に入金させるなどし、当該各犯行を容易にした。乙は、過去に本件と同種の法人税法違反幇助により罰金刑及び執行猶予付きの懲役刑の有罪判決を受け、同執行猶予期間中に本件犯行に及び、罰金800万円のほか、懲役10月の実刑判決を受けた。
今年4月以降も緊急事態宣言とまん延防止措置が全国各地で出されており、査察事案の着手及び処理は順調に進んでいない。しかしこのような中でも、査察官たちは蓄積したノウハウと各種資料情報、様々な調査手法を駆使して悪質事案を洗い出し、告発に向けて今日も動いている。
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