「デフレからの脱却」を旗印に2012年に打ち出されたアベノミクス。株価や不動産価格は上がり、いわゆる富裕層には恩恵があったと言われるものの、皆さんはどうでしょうか?アベノミクスを評価する前にコロナ禍が襲ってきてしまい、オリンピック景気を享受することもままならない今、週刊ダイヤモンド(ダイヤモンド社:2021.8.28発行号)に衝撃的な見出しを見つけました。
「安すぎ日本-沈む給料買われる企業」
当初は景気の起爆剤として期待していた方も多かったでしょう「オリンピック」は終わりました。アフターコロナの時代も必ず来るでしょう。今は時代の大きな転換点にいることは間違いありません。新しい時代に向けて私たちはどのような準備ができるのか。日本の状況を国際比較しながら考えてみましょう。
日本の給与は安すぎる?!
まずは日本の賃金について現状を見てみましょう。
ニュースでも広く取り上げられましたのでご存じの方も多いでしょう、日本の最低賃金は2021年の全国平均で、時給換算902円から930円となります。今の制度が始まった1978年度以来の最大の上げ幅です。
地域別最低賃金は、安倍晋三前首相が2015年に「年3%」の引き上げを目指すと表明し、引き上げが続いていました。しかし、2020年はコロナの影響を受け政府が「雇用を守ることが最優先」と表明し、全国平均の引き上げ幅は「1円」に。
そしてコロナ禍の出口が見えてこない2021年度ですが、政府が「より早期に平均1千円を目指して引き上げに取り組む」と表明。働く側からすると嬉しいニュースですが、手離しで喜べない事情もあります。
実は日本の最低賃金は先進7か国(G7)の中で最も低いのです。
以下のグラフは最低賃金の国際比較(G7)です。額面だけ見れば上から5番目ですが、最下位のアメリカは実質の労働市場では6割の州がこれよりも高額な最低賃金を定めています。(例えばカリフォルニア州では1530円です。)
この事実を見ると「果たして1千円は妥当なラインなのか?」という疑問さえ浮かんできます。
※ちなみに、平均賃金でも日本の低さは際立ちます。
2000年以降の日本の平均賃金の上昇率はたったの0.4%なのです。