5.人材の評価
(1) 職員の評価
職員の評価では被監査会社のセクター、ビジネスに対する理解と監査品質を重視しています。なお賞与は法人業績、人事評価結果、ポジティブな活動貢献等が考慮され、昇格はモビリティ等の多様な経験がプラスの評価要素とされるとしています。
(2) 社員の評価
監査品質管理委員会、監査品質監督会議により評価された監査品質が重視され、人材育成、リーダーシップなどの項目と総合し、社員報酬委員会が最終評価および報酬を決定します。
なお評価が一定の水準に達しない社員に対してはパフォーマンス改善プログラムが適用され、一定期間が経過しても改善されない場合、退職勧奨の対象となるとされています。
これまで見てきた他法人の監査品質に関する報告書でも社員の評価が記載されていましたが、パフォーマンス改善プログラムや退職勧奨といった点に触れられているのはEY新日本だけであり、この辺りに2010年代の会計不正問題の影響がうかがえます。
6.全社的マインドチェンジ
組織風土改革の3つの提言として、下記が挙げられています。
(1) プロアクティブな人を養成し、評価できる抜本的な制度改革を実施すること
(2) パートナー個人の集合体から脱却するためにパートナーの役割と責任を再定義すること
(3) 構成員が能力を発揮するための機会と環境を整備すること
7.D&I(ダイバーシティ&インクルーシブネス)
被監査会社や社会が抱える課題解決を支援し、より高いサービス品質を生み出すためにD&Iは重要な経営戦略と位置付けられており、EY新日本の取り組みとして以下が挙げられています。
(1) 人事管掌の副理事長がオーナーを務めるAssurance D&I Committeeの設立
(2) 東京レインボープライドへの協賛・参加
(3) 福利厚生において同性パートナーを配偶者と同等に認め、ハラスメントおよび差別防止規定の対象範囲に性自認を追加
(4) 女性活躍推進施策としてフレキシブルワークプログラム、中抜け勤務制度など多様な働き方の提供、育児支援制度の充実、女性社内ネットワークWindSの立ち上げ、女性パートナー増加を目的としたスポンサーシッププログラムの導入 等
冒頭で記載されている女性比率を見ると、パートナーが7.7%、管理職が17.2%であり、政府が「第5次男女共同参画基本計画」の中で目標として掲げる指導的地位に占める女性の割合30%に対してはいまだ半分程度にとどまっています。
なお帝国データバンクによると2021年3月期決算の上場企業2,220社の女性役員比率は7.4%(*3)、また東京商工リサーチによると大企業の女性管理職比率は5.8%(*4)となっています。形態、規模、業種等さまざまであるため一概に比較できないものの、これらの調査結果とあわせてみるとEY新日本の女性比率は比較的高いと言えそうです。




