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相続 民法改正で妻に優遇拡大 長期婚姻で法定相続分3分の2

2017年、相続に関する民法が大きく変わりそうだ。長年付き添ってきた夫婦にとっては良い方向に進みそうだが、妻は夫との夫婦関係をはじめ、親族間の良好な人間関係構築が不可欠だ。

相続で自宅退去を迫られる可能性のある、妻の居住権確保などを柱とした、民法改正が早ければ2017年にも実現しそうだ。すでに法務大臣の諮問機関である法制審議会が中間試案(http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900291.html)をまとめており、政府は2017年の通常国会に民法改正案を提出する。

改正予定のポイントは2つ。一つは、夫が亡くなった後、妻が自宅に住み続ける「居住権」を新設する。二つ目が、結婚期間が20~30年以上の場合、配偶者の法定相続分を2分に1から3分の2に引き上げること。

まず、一つ目について詳しく紹介すると、現行法では、夫の死亡後に自宅の所有権を持たない妻が、追い出されるケースがある。たとえば、自宅を子どもたちが相続したり、亡くなった夫が遺言で第三者に自宅を贈与した場合などだ。改正案では、前述のような場合でも、妻が自宅に住み続けるようにする。遺産分割協議中も無償で妻は自宅に住み続けられる権利を「短期居住権」、自宅の所有者が変わっても安価で住める権利を「長期居住権」として新設するとしている。

二つ目の法定相続分の引き上げについては、婚姻が成立した日から20~30年で自動的に引き上げる案や、夫婦で引き上げを選択できる案など複数案が盛り込まれている。法定相続までは、相続税の配偶者控除が適用されるため節税にもつながる。長年連れ添った夫婦にとっては朗報となりそうだ。

円満な老後生活を送っておくことが不可欠

定年後、「濡れ落ち葉」などと妻から厄介者扱いされることもある夫だが、いざ相続にあたっては、妻も円満を保つ努力が欠かせない。というのも、民法改正で法定相続分が引き上げられたとしても、夫が遺言で指定すると妻に渡る遺産を法定相続分の2分の1まで減らすことが可能だからだ。夫とは、生前極力大きなトラブルもなく「円満」に過ごしておくことが、これからの相続を考えると重要なのだ。

さらに、相続税の申告期限は、夫の死後10カ月以内に申告する必要があり、間に合わなければ配偶者控除の恩恵を受けることができなくなる。遺産分割がスムーズに進められるように、親族間での人間関係も良好にしておく必要がある。とくに、今回の民法改正では、介護などを行った場合、従来は権利のなかった親族も相続できるようにする案も考えられている。「相続」をキーワードに、妻は円満な人間関係を構築しておくように、周囲への気配りも重要になってくる。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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