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国税当局 法人の調査日数は短縮傾向に  急増する消費税不正還付の追徴税額

秋と言えば、企業の経営者や個人事業主の中には「税務調査の秋」を連想する者もいるだろう。というのも、国税当局が7月の定期人事異動を終えて税務調査を本格化させるためだ。そのような中、国税庁が公表した平成27事務年度法人税等の調査事績によると、調査件数は減っているものの的確な調査選定により、不正を含めた申告漏れ件数等が増加していることがわかった。

実地調査の73.4%から非違を把握

平成27事務年度(2015年7月から2016年6月まで)の1年間に実施された法人税の実地調査状況をみると、「9万4千件(前年度比1.6%減)に対して実地調査が行われ、73.4%に当たる6万9千件(同0.9%減)から8312億円(同1%増)の申告漏れ所得金額を把握し、加算税額249億円を含む1592億円(同6.7%減)を追徴している。1件当たりの申告漏れ所得金額は888万円(同2.6%増)だ。

1件当たりの調査日数は、2013年1月からの税務調査手続の明確化等を内容とする国税通則法の改正に伴い、最近は短縮傾向になっている。

年度途中で改正通則法の適用が開始された平成24事務年度からは、同23年9.1日から24年11.7日、25年11.9日と増加していたが、改正法への調査官の対応も進み26年11.4日、27年11.3日と短縮されている。

しかし、実地調査件数を対象法人数で除した“実調率”については、前年より0.1ポイント減少の3.0%と低調だ。

不正割合ワースト業種は14年連続で「バー・クラブ」

調査件数のうち、故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を働いていた法人は1万8千件(前年度比0.4%減)で、不正発見割合は19.7%と調査した5件の1件にのぼり、その不正所得金額は2374億円(同前年度比6.8%減)だった。1件あたりの不正所得金額も1285万円(同6.5%減)と減少している。

不正を業種別にみると、不正発見割合の高い業種では、「バー・クラブ」(不正割合66.3%)がワースト1となり、次いで「大衆酒場、小料理屋」(43.1%)、「パチンコ」(32.7%)となっている(図表参考)

 

バー・クラブは14年連続でワースト1となるとともに、実に調査した3件のうち2件が不正をしていた計算となる。

一方、1件当たりの不正脱漏所得金額が大きい業種は、「民生用電機機械器具電球製造」(不正所得金額7608万円)でワースト1となり、以下、「パチンコ」(4895万円)、「水運」(3836万円)と続いている。不正発見割合でワースト上位の「バー・クラブ」及び「大衆酒場、小料理屋」が高額業種のワースト10に入っていないことから、これらの業種は1件あたりの不正脱漏所得金額は少なく、「パチンコ」はある程度不正割合も高く不正所得金額も相当程度あることが分かる。

景気の上向きにより法人の黒字申告割合が上昇する中、無所得(赤字)だったとして申告した法人3万3千件へ実地調査を行った結果、2万4千件から何らかの誤り(非違)が見つかり3011億円の申告漏れ所得金額が把握されている。また、調査件数の24%に当たる8千件で不正が把握され、その不正所得金額は1千億円に達している。また、この調査で4千件(13.3%)が、本当は黒字にも関わらず赤字として申告していたことが明らかになるなど、法人の3件に2件を占める赤字法人を隠れ蓑に不正申告を図る法人も少なくいる。

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