消費税不正還付の追徴税額は30億円に急増

平成27事務年度の法人消費税の調査件数は、法人税との同時調査を中心に9万件で、5万2千件から565億円を追徴課税している。こちらも調査件数等は減っているものの、追徴税額は増えている。

消費税においては近年、虚偽申告による不正還付が増えていることから、国税当局でも不正還付等を行っていると認められる法人の把握に向けて情報収集に努めるほか、的確な選定・調査を展開している。今回は前事務年度に比べて微増の7475件に調査を行い、半数を超える4215件から何らかの非違が把握され152億円が追徴された。また非違があった4215件の18%に当たる764件で不正に還付金の水増しなどが行われており、追徴税額は前事務年度の11億円余から30億円と大幅に増加し、1件当たりの追徴税額は過去最高に近い63万円となっている。今回の大幅増加について国税当局では、平成26年4月の消費税率8%への引上げが多分に影響していると分析している。

不正還付事例をみると、宝石貴金属販売業のケースでは、海外の邦人に宝飾品を輸出したとして消費税の還付申告書を提出していたが、調査の結果、宝飾品を仕入れ先法人Aから高額で仕入れ、X国Bに高額で輸出し、その後、同一の宝飾品を仕入先法人AがX国から複数の法人を経由し低額で輸入しその後再び、調査法人が仕入先法人Aから高額で買い戻し、X国法人Bに繰り返し輸出していた。この行為は、調査法人が関係者と示し合わせて不正に消費税の還付を受けるために行った循環取引であることが、通関業者への反面調査やインボイスの分析により判明し、重加算税を含め6億9,600万円が追徴されている。

海外取引の申告漏れ所得金額2308億円

企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展する中で、海外取引を行う中小企業も増えてきたが、海外の取引先からの売上げを除外するなどの不正計算を行うものも見受けられることから、国税当局では海外取引法人に対して租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査を展開している。

同事務年度においては、海外取引法人等に対する実地調査を1万3千件実施し、その非違件数は3362件、申告漏れ所得金額2308億円を把握している。また、調査した438件に意図的な申告漏れが把握されており、その不正金額は167億円だった。

把握された不正事例では、多額の国外送金があったことから、その支払いの取引実態を確認するため調査が行われ、X国に所在する法人Aに支払った工業所有権の使用料について租税条約の届出書を提出し免税適用を受けていたが、その工業所有権はAからY国に所在す法人Bに譲渡され、支払先がAからBに変更されていた事実を把握し、Y国の租税条約では使用料の免税適用はないため、Bへの使用料の支払いでは源泉所得税が課税されることから加算税を含め6,100万円が追徴課税された家具・装備品の製造及び販売業の法人のケースが明らかにされている。

 

税務署からの再三の申告勧奨を無視する法人に「天誅」

各種情報取集から事業を行っていると見込まれるにも関わらず、見つからないだろうと考えて申告をしない“不届き法人”も後を絶たないが、国税当局では放置しておくことは納税者の公平感を著しく損なうものであることから、重点的に調査に取り組んでいる。同事務年度においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人2555法人に対し実地調査を行い、86億円(法人税46億円、消費税40億円)を追徴課税しており、前事務年度と比べ調査件数は減少しているものの追徴税額は2割以上も増えている。

また、この中には、所轄税務署が事業を営んでいると思われる情報を把握し、再三自主的に申告するよう指導していたものの、設立以来全く申告していなかったことから調査されたケースを含め、稼働している実態を隠して意図的に無申告であった法人が312件も含まれていて、その追徴税額は30億円(法人税22億円、消費税8億円)に及んでいる。

人員不足や事案の国際化・広域化・複雑化により調査の実調率が低調に推移し、税務署等からの調査官が企業等にやって来る確率も少なくなってはいるものの、国税当局はその分をITC化等でカバーしてしっかり目を光らせていることから、間違っても「見つからないだろう」的な考えは起こさないことだ。