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免税品が日本帰国時の空港内で購入可能に 税制見直しへ

海外旅行者が帰国した際、国内の国際空港でも免税品を買うことができる日も近い。政府は2017年度税制改正で、海外旅行者が帰国時、空港で購入できる免税制度の見直しを図る検討をはじめた。安倍政権が掲げる「観光立国」を税制面から後押しする。海外旅行者が入国前に免税品を買うことができるようになれば、その経済効果を外国から国内に取り込め、日本経済の活性化に繋がるとの考えもある。

政府・与党は11月19日、日本人の海外旅行者が帰国時に国内空港内で免税品を購入できるよう税制の見直しをはじめた。
現在、免税品の販売が許されているのは、国際空港の出国エリアと機内だけ。入国エリアは、国内で消費する物を海外から戻った人だけが免税で安く買えるのは不公平との理由で許してこなかった。ところが、海外旅行も一般化したことから、国交省は2017年度税制改正要望の中に、「携帯品免税制度の見直し」という内容の要望を盛り込み、入国エリアでの免税品の販売を認める要望を提出していた。
具体的には、海外を訪れた日本人が購入した商品の一部を免税とする「携帯品免税制度」の対象に、帰国時の購入商品も加えるもの。現在、海外からの持ち込み品は、「酒類3本」「たばこ200本」「香水2オンス」など一定の範囲で、関税、消費税、酒税、たばこ税を免除している。これの対象範囲を拡大し、日本人も免税品を国内空港でも買えるようになれば、経済効果を外国から国内に取り込むことが出来る。さらには、海外旅行中に重い荷物を運ばなくてもすむようになるなど、利便性はグッと良くなる。
こうした報道を受けて、市場はすでに反応した。この日、ラオックスの株価は続伸。同社は、空港内で海外家電をはじめ理美容品、レディス小物、食品など多数販売しており、空港内での売り上げ拡大が期待され買いが入ったのだ。
到着時の免税制度については、2013年度税制改正でも「本邦国際空港における到着時の免税品の購入・受取制度の創設」を要望して不採用となった経緯がある。しかし今回はそのときの社会環境とかなり違う。安倍政権が掲げる「日本再興戦略2016」(2016年6月2日閣議決定)や「観光ビジョン実現プログラム2016」など、国の政策がバックボーンにあるのだ。税制についても、研究・検討するよう明記されている。
政府としては、ブレーキのかかってきた訪日客のショッピング需要を喚起したい思惑と、訪日外国人だけではなく、日本人の海外旅行客にも恩恵を受けて欲しい考えがある。
一方で、今回の税制改正では、日本を訪れた外国人旅行者に対して、例えば、日本の酒蔵で製造されている酒を現場で購入した場合、酒税を免除する制度を新たに設けることが検討されている。訪日観光客に製造現場まで足を運んでもらい、酒などを購入してもらえれば、酒税を免税にしようというのだ。
観光庁では現在、「酒蔵ツーリズム」(http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/sakagura.html)の促進に力を入れており、政府もこれを税制面からバックアップしたいと考えている。この「酒蔵ツーリズム」には、日本産酒類(日本酒、焼酎、泡盛及び日本産ワイン・ビール等)を盛り立て、それを観光資源として外国人観光客を呼び込み、地域活性化につなげていく狙いがある。
2020年の東京オリンピックに向けて「観光先進国ニッポン」の機運は高まっている。政府としては、国の政策と歩調を併せ、装いも新たに2017年度税制改正要望に盛り込む。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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■KaikeiZine
https://kaikeizine.jp/

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