適格請求書等保存方式の導入は平成35年10月1日から
次に、消費税率10%への引上げ時期の2年半延期と、それに伴う税制措置の見直し、今国会審議経過と主な税制措置の適用時期について確認する。
国税関係・地方税関係の両改正法は、臨時国会開会前の8月24日に閣議決定され、その約1カ月後となる国会開会日の9月26日に提出された。その後、審議を経て衆院を11月8日に通過して同日参院に送られ、11月18日に参院で可決・成立した。 なお、地方税関係の改正法には、衆院可決の際に「地方消費税率引上げ時に導入される自動車税及び軽自動車税への環境性能割について税率区分を設定するに当っては、廃止される自動車取得税に見合う財源が確保されるものとし、地方財政に影響を及ぼすことがないようにすること」を含めた3項目の付帯決議が付されている。
今回の改正内容は、消費税率引上げの実施時期を2年半延期することと、これに伴う軽減税率制度や反動減対策等の各種施策等について、導入時期等を2年半延期することを基本として、所要の税制上の措置を講じている。
まず、消費税率10%への引き上げを2年半延期することに伴う消費税関係の措置では、指定日前までに、工事の請負契約を締結した場合、税率引上げ後に譲渡等をしても、引上げ前の税率が適用される請負工事等に係る適用税率の経過措置の指定日を、平成31年4月1日(改正前:平成28年10月1日)に変更する。
軽減税率については、導入時期を平成31年10月1日とするとともに、適格請求書等保存方式の導入時期も同35年10月1日まで延期され、適格請求書発行事業者の登録申請受け付けは、平成33年10月1日から。適格請求書等保存方式の導入までの売上(仕入)の一定割合を、軽減税率対象品目の売上(仕入)として税額計算する、消費税の税額計算の特例(4年間)に関しては、中小事業者(基準期間における課税売上高が5千万円以下の事業者)は平成31年10月~同35年9月末と2年半先延ばして適用するとされたが、中小事業者以外の基準期間における課税売上高が5千万円超の事業者に対する税額計算の特例(1年間)は、適格請求書等保存方式の導入時期の延期により、十分な準備期間が確保される認識から削除されているので注意が必要だ。
また、仕入れを税率別に区分することが困難な小売業等を営む事業者の仕入税額の簡便計算の特例は、平成31年10月~同32年9月末となっている。
消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、大手スーパーなど「特定事業者」による納入業者など「特定供給事業者」に対する消費税の転嫁拒否等の行為を禁止する、消費税転嫁対策特別措置法についても、適用期限を今年度末から平成30年度末まで延ばしている。
住宅ローン減税の適用期限も2年半延期
消費税関係以外をみると、直系尊属から住宅取得等資金を贈与された場合の贈与税の非課税措置では、①住宅の取得対価等に含まれる消費税の税率が、10%である場合の非課税枠の適用期間を平成31年4月1日から同33年12月31日まで(改正前:28年10月1日から31年6月30日まで)、②①以外の非課税枠の適用期限を同33年12月31日(同31年6月30日)とするとともに、非課税枠を段階的に縮小させる時期も2年半延期する。
住宅ローン減税(10年間合計で最大500万円の税額控除)等の適用期限を、同33年12月31日(同31年6月30日)とされている。
地方税関係では、自動車取得税の廃止時期と自動車税・軽自動車税の環境性能割の導入時期をそれぞれ平成31年10月1日(同29年4月1日)とするほか、法人住民税法人税割の税率引下げや地方法人税の税率引上げ、地方法人特別税・譲与税の廃止等の時期も2年半延期して同31年10月1日とされた。
再延期に伴う影響は‥・
今回の消費税増税の再延期により、懸念されるのが、社会保障や財政健全化等への影響。特に右肩上がりの少子・高齢化に伴う社会保障費の財源確保では、試算として1兆3千億円程度不足する予想されているほか、1千兆円を超える借金をどのように減らし、財政再建化を図っていくか今後の課題居は尽きない。日本の財政状況を考えると、もうこれ以上の引上げ延期はないと思いたいところだが、「政治状況によっては“2度あることは3度ある”かも」(元財務省主税局職員)との発言もあり、早くも3年後が気になるところだ。




