以前に17.7兆円の年金運用赤字を出したこともある年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だが、2022年度の運用益が10兆円超えとなり、2年連続の黒字を達成したと発表した。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2022年度の運用状況を発表した中で、年金積立金の運用益が10兆925億円の黒字となったことが明らかになった。
前年度の37兆7986億円の黒字からは大幅に減少したものの、2年連続で黒字を達成したことを意味する。
GPIFは、2022年度の運用益をどうやって黒字にしたのだろうか。
GPIFが2022年度の年金運用益を黒字にできた理由
GPIFは、公的年金制度における積立金の安全かつ効率的な管理・運用を行う機関である。
国内外の株式や債券などに分散投資を行い、長期的な視点でリスクとリターンのバランスをとりながら運用している。
2022年度の運用益を黒字にした理由としては、主に以下の3つが挙げられる。
- 国内株式市場の堅調さ
- 国外株式市場の回復
- 為替レートの影響
国内株式市場の堅調さ
まず、国内株式市場の堅調さがGPIFの運用益を押し上げる要因となった。
2022年度は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種や経済再開が進み、企業業績や景気見通しが改善された。
その結果、日経平均株価は前年度末から約20%上昇し、史上最高値を更新した。
GPIFはその国内株式に約25%を投資しており、この平均株価の上昇により大きな収益を得た。
国外株式市場の回復
次に、国外株式市場の回復もGPIFの運用益を押し上げる要因となった。
2022年度は、世界的にもワクチン接種や経済対策が進み、米国や欧州などの主要国の株式市場が堅調に推移した。
やはり国外株式に約25%を投資しているGPIFは、この株式市場の回復により大きな収益を得た。
為替レートの影響
最後に、為替レートの影響もGPIFの運用益を押し上げる要因となった。
2022年度は円安傾向が続き、ドル円レートは前年度末から約6%円安となった。
国外資産に約50%を投資しているGPIFは、この円安によってその資産の評価額が増加した。
まとめ
GPIFが2022年度に運用益を黒字にできたのは、国内外の株式市場の堅調さや為替レートの影響によるものであることが、お分かりいただけただろう。
コロナ株安の影響で、2019年度には17.7兆円の年金運用赤字を出したこともあるGPIFだが、年金制度の運営の安定に貢献するために、引き続き長期的な視点で運用を行っていくとしている。
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