原価率が高くなっている原因を分析しよう

その後Jさんは、飲食店専門の税理士に相談し、原価管理の方法について教えてもらいました。

毎月の棚卸しをしていなくても、2カ月平均の原価率を活用することで、実態に近い原価率を把握することができ、原価管理の指標として原価率を活用できるようになりました。

その上で、食材とドリンクの仕入・調理・販売の工程のどこに原因があるかを調査することで、原価率が高くなっている原因を特定することができ、原価率を改善することができました。

原価率が高くなるのは、食材とドリンクの仕入・調理・販売の工程のどこかに原因があるからです。

下記の表のとおり、どの工程に原因があるかにより、取るべき改善策が異なるため、まずはどの工程に原因が生じているのかを見極める必要があります。

例えば原因として、食材とドリンクの仕入の工程でいつの間にか仕入業者の価格が見直され、仕入価格が高くなっていることも考えられます。

この場合は、仕入業者へ仕入価格の減額交渉をしたり、仕入業者を変更したりすることで、原価率を低く抑えることができます。

また、食材とドリンクの販売の工程では、売れ筋の商品が原価率の高い商品ばかりになっていることも原因として考えられます。

メニューブックや店内POPを作り直し、売れ筋の商品を利益の取れる商品へ変えることで、原価率を低く抑えられます。

原価管理では、食材とドリンクに関してどの工程に原因が生じているのかを見極め、原価率が適正値に抑えられるように改善し続けていくことが大切です。

  • 原価管理の工程ごとの原因と対策
食材・ドリンクの流れ 1. 仕入工程 2. 調理工程 3. 販売工程
原価率が高くなる原因 ・仕入業者の価格が見直され、いつの間にか高くなっている

・必要以上に多く仕入れている

・死蔵品が多い(先入れ先出しが守られていない、食材を使い切れていない)・必要以上に食材を使いすぎている

・従業員による飲み食い、持ち帰りが発生している

・値付けが低すぎる

・原価率の高い商品ばかりが売れてしまっている

その改善策の例 ・仕入業者の見直し、または、業者への値下げ交渉を行う

・売上予測を基に適正量を仕入れる

・在庫管理の徹底および死蔵品を活かす新メニューの開発

・メニューごとのレシピの作成

・従業員への注意喚起、ビデオカメラの設置など

・値付けの見直し

・メニューブックやポップなどを作り直し、注文の流れを変える

飲食店の原価管理は、原価率を正しく把握することから!

お店の原価管理の指標に、食材・ドリンクごとの原価率や2カ月平均の原価率を活用して、仕入・調理・販売の工程ごとの状況を分析し、適切な対策を打つことが重要なのです。

まとめ

税理士が教える飲食店経営のノウハウの連載は、今回が最後になります。

飲食業界は、開業後3年以内に半数が撤退し、10年以上存続している飲食店は1割という厳しい業界です。

それにも関わらず、毎年多くの飲食店がオープンしています。

それは参入障壁が低いからだけではなく、飲食業が好きで、好きだからこそ自分の夢を実現したいという人が多くいる、「厳しいけれど、楽しい業界」です。

飲食店経営は、「知っているかで結果が変わる」ことが非常に多くあります。

当連載を通して、少しでも多くの飲食店関係者に飲食店経営に役立つノウハウを知っていただき、悩みの解消に役立ててほしいという思いで連載を続けてまいりました。

皆様の繁盛店づくりに少しでも役立つことができていたら幸いです。

ありがとうございました。


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2017年からの6年間、毎月水野先生に執筆をいただいた記事は飲食業界の課題を解決に導く貴重なアーカイブです。この機会にぜひ以前の記事もぜひ読んでみていただけると!(KaikeiZine編集部)

【執筆者過去記事】

「税理士が教える飲食店経営のノウハウ」

~値上げの注意点~

~デリバリーサービスの活用~

~消費税の経理方式~

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