「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは

「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは、「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当しないものをいいます。

例えば、ショッピングサイトから電子書籍を購入する取引は、事業者も消費者も同じように利用できるため事業者向けには該当せず、消費者向けとなります。

「消費者向け電気通信利用役務の提供」については、登録国外事業者から提供を受けるもののみが仕入税額控除の対象となります。

「登録国外事業者」とは、消費税の課税事業者として国税庁長官の登録を受けた事業者で、国税庁のホームページで公表されています。

登録国外事業者制度については、「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)の導入に伴い、令和5年10月1日に廃止されます。

このため、令和5年9月1日において登録国外事業者である者は、インボイス施行日(令和5年10月1日)から適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなされます。

来日芸能人等の報酬もリバースチャージの対象に!

日本で役務提供を行った海外のスポーツ選手や芸能人等は、国内に住所を有していない場合であっても、その者の基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税を申告納税しなければなりません。

しかし、こうした海外のスポーツ選手や芸能人等に係る消費税の申告漏れが散見されたことから27年税制改正でリバースチャージ方式の対象となりました。

したがって、改正後は、海外のスポーツ選手等から役務提供を受けた事業者であるイベント主催者などに消費税の納税義務が転換されます。

ただし、リバースチャージ方式は、当分の間、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税を適用している事業者には適用されません。

総括

今回は、平成27年度改正で導入されたリバースチャージ方式を中心に見てきました。

リバースチャージ方式は、当分の間、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税を適用している事業者には適用されませんが、その場合には仕入税額控除も行えません。

誤って仕入税額控除を行ってしまい、税務調査で指摘されたというケースも見られますので注意が必要です。

さて、2017年から6年以上にわたって連載した国際税務に関するシリーズも、今回の掲載をもって終了いたします。

長い間、お読みいただいた読者の方々には心より御礼申し上げます。

【執筆者過去記事】

【海外取引と源泉徴収】人的役務提供事業の対価を支払う場合の源泉徴収

米国デラウェア州LPS事件~LPSは「法人」に該当するのか?

輸出売上の計上時期はいつが合理的か?

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