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“税界”の裏話 マルサ告発後の不起訴処分は調査能力の低下を懸念

東京、名古屋両国税局の査察部が刑事告発した脱税事件で、地検が相次ぎ告発対象者を不起訴(起訴猶予)としたことが話題になりました。告発後に不起訴になるのは滅多にないことで、査察内部では何が起きているのでしょうか。

2017年2月22日付けの読売新聞朝刊によると、東京、名古屋両国税局の査察部、いわゆるマルサが刑事告発した脱税事件で、地検が昨年12月と今年1月、告発対象者を相次ぎ不起訴としたそうです。報道によれば、告発後に、起訴の基準に満たないとして不起訴となるのは極めて異例で、東京国税局では26年前の1件しかないとしています。

マルサは、国税の警察みたいな組織。一般の税務調査官と違い、マルサは令状による強制捜査を行います。検察庁への告発を前提に査察調査は行なわれ、どう脱税犯をあげるか、決着点は決まっています。

なので、マルサが入るとなると、ほとんどの人がビビります。あくまで個人的な感想ですが、顔も強面の人が多いように思います。マルサが着手する案件は年間約200件、処理件数は180~190件で、このうち告発に至るのは110~150件ぐらいです。着手されたら、6割以上の確率で告発されている計算になります。ターゲットはかつて、1億円超の悪質な脱税と言われていましたが、最近は数千万円の脱税事件でも動くようです。

一昨年の新聞報道では、消費税で3千万円でも告発されました。昨年は、住宅設計会社が東京国税局のマルサに5700万円で告発されています。基本は、1億円なのでしょうが、脱税額が下がっていることは気になります。悪質なもの」に関しては特別なのでしょうが、今回の告発後の不起訴処分といい、最近の査察部門に何が起きているのでしょうか。

元マルサの国税OB税理士の話では、「現場の調査能力が落ちてきているのか心配だ」との指摘も聞かれます。よくマルサ部門の人は調査にはいることを、「ガサに入る」と言います。本当に刑事ドラマのような世界なのですが、こんな人もいたそうです。

すでに国税を定年退職されているその方は、話をするとき必ず机をバンバンたたくそうです。お酒が入るとさらにその〝バンバン″が強くなる。実はこの癖、査察の現場で身に付いたそうです。結構、バンバンしながら話されると、ストレスを感じます。刑事のようなこの癖、この方、国税を退職した今も〝バンバン“が抜けないそうです。

昔の国税職員は、今よりもキャラクターの強い方が多く、職人技のような調査能力・技術を持っていました。保管されている納税者データは昔よりも増え、IT技術も昔とは比べ物にならないほど発達しているのに、昔のほうが査察もすごかったは不思議です。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
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https://kaikeizine.jp/

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