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“税界”の裏話 オーナー経営者の「家」は多くが「社宅」

ホワイトハウスに移る前のトランプ米大統領の自宅は、その豪華さで世界中の人が知るところ。日本でも、創業経営者や同族会社のオーナーの家は、とかく“豪華”だ。しかし、このオーナー経営者の家だが、調べてみると「社宅」ということが多い。「社宅」ということは、購入費は会社経費。社長から家賃は取っているのだろうか。

都内の億ションマンションなど、経営者やドクターなどに人気だ。

経営者の場合、自宅を自費で購入するケースは意外に少なく、億ションマンションも会社のおカネで取得し、これを「社宅」として会社から借りることが多い。

顧問税理士からアドバイスを受け、「そんな方法もあるのか」と知るのだが、社員はそんな事情を知らないため、世間一般では、なんとなく“役員社宅”は秘め事のような扱いになっている。もちろん合法なのだから、胸を張って「社宅」を借りれば良いのだが、経営者も胸を張れない事情もある。社宅が豪華すぎたり、その社宅維持でかかる経費問題、さらには社長が会社に払う家賃の設定などが上げられる。

家賃の設定については、社宅扱いにするには、一定のルールがある。国税庁ホームページのタックスアンサー「役員に社宅などを貸したとき」に詳しいのだが、住んでいる経営者から一定額に満たない家賃しかとっていないと、基準になる家賃との差額が給与課税される。そして、このときの適正家賃は「時価」に跳ね上がるのだ。

さらに、給与課税されると、所得税の問題だけでなく、役員給与を経費として落とせるルールの一つ「定期同額役員給与」の金額が変わり、法人経費として落とせなくなることも。

国税職員の話では、結構、急成長している若い経営者がこれで税務署から指摘されることが多いと言う。

役員給与の借主メリットは、社宅の固定資産税や火災保険料、大規模修繕費などは会社負担でも構わない点。購入費以外のこうした諸費用も経費で落とせるのだから、役員社宅は経営者にとってはオイシイ制度だ。

そこまで分かると、社員にはあまり言いたくない秘め事というのもうなずけると思う。

ところで、よくTVなどで、芸能人が名物社長などの家にお邪魔し、その豪華な家とその内部を紹介したりしている。黄金と思わしき置物や有名作家の絵画、中には富豪の象徴のようなトラの皮のじゅうたんなど、「これは何百万」した。「何千万円した」と芸能人の質問に答えている。

その値段が本当かどうか分からないが、実は、こうしたTV番組は税務署からすると格好の情報ソースになる。普通だったら、税務調査で自宅内部を確認しなくてはいけないところ、社長の方から勝手に「見てください」と情報提供しているからだ。税務署は、こんなところからも〝社宅"情報を得ているのだ。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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