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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:国税庁が公表した『国際戦略トータルプラン』とは

国税庁は『国際戦略トータルプラン-国際課税の取組の現状と今後の方向』を公表しました。国際課税への取組を重要な課題と位置づけ、情報収集の強化、富裕層管理PTなど専門体制の拡充等を通じ、積極的に調査を実施していく方針を明確にしています。ターゲットは富裕層や海外取引のある企業。国税庁の取組方針をしっかり把握しておくことは重要です。

国税庁は昨年10月に『国際戦略トータルプラン-国際課税の取組の現状と今後の方向-』を公表しました。

これは、経済社会がますます国際化している中、いわゆる「パナマ文書」の公開やBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの進展などにより、国際的な租税回避行為に対して、国民の関心が大きく高まっている状況にあることを踏まえ、国際課税の取組の現状と今後の方向を取りまとめたものです。

国際戦略トータルプランの柱として、①情報リソースの充実、②調査マンパワーの充実、③グローバルネットワークの強化、が挙げられております。

国際戦略トータルプランの概要

《背景》

○近年、個人投資家からの海外投資や企業における海外取引が増加するなど、経済社会がますます国際化している。
○富裕層や海外取引のある企業による、海外への資産隠しのほか、国外で設立した法人や各国の税制・租税条約の違いを利用して税負担を軽減する等の 国際的な租税回避行為に対して、国民の関心が大きく高まっている。

 

《国税庁の方針》

国際戦略トータルプランの各取組を推進し、課税上問題がある場合には、積極的に調査等を実施するなど適切に対処していく。

 

《国際戦略トータルプラン》


1 情報リソースの充実


(1)国外送金等調書の活用
・100万円超の国外への送金及び国外からの受金の把握

(2)国外財産調書及び財産債務調書の活用
①国外財産調書
・5千万円超の国外財産(預金、有価証券や不動産等)の把握
②財産債務調書
・3億円以上の財産(預金、有価証券や不動産等)又は1億円以上の有価証券等の把握(所得2千万円超の者)

(3)租税条約等に基づく情報交換
・取引の実態、配当や不動産所得等に関する情報を収集
・3類型による情報交換(①要請に基づく情報交換、②自発的情報交換、③自動的情報交換)
・租税条約等のネットワークの拡大

(4)CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)による金融口座情報の自動的交換
・非居住者の金融口座情報を自動的に交換。オフショア金融センターを含む101カ国・地域で実施予定(平成28(2016)年10月現在)
・平成30(2018)年9月までに外国との初回の情報交換を開始し、以降毎年1回情報交換

(5)多国籍企業情報の報告制度の創設
・総収入金額1,000億円以上の多国籍企業グループが国別報告事項等を提供(平成28(2016) 年4月施行)
・平成30(2018)年9月までに外国との初回の情報交換を開始し、以降毎年1回情報交換


2 調査マンパワーの充実


(1)局統括国税実査官(国際担当)・国際調査課
・国際的租税回避行為に係る資料の収集・分析、調査企画
・複雑な海外取引に係る調査手法の研究・開発

(2)局・署国際税務専門官
・国際的な課税上の問題がある事案を発掘するとともに、積極的に調査を実施

(3)重点管理富裕層PTの設置・拡大
・東京、大阪、名古屋局にPTを設置 (平成26年度から)
・富裕層のうち、特に多額の資産を有していると認められる者を「重点管理富裕層」として関係個人・法人と一体的に管理及び情報収集
・全国的な実施体制に拡大(平成29(2017)年7月以降)

(4)国際課税関係の体制整備
・国際課税の司令塔(庁国際課税企画官)の設置等を要求
・国際課税に係る専担者等の増員を要求


3 グローバルネットワークの強化


(1)租税条約等に基づく情報交換

(2)CRSによる金融口座情報の自動的交換

(3)国際的な枠組みへの参画
・BEPSや税の透明性に関する国際的な議論への対応

(4)徴収共助制度の活用
・滞納者が租税条約の締約国に財産を保有する場合、相手国の税務当局に徴収を要請

(5)相互協議の促進
・国際的な二重課税問題の解決のため相互協議を実施
・機動的かつ円滑な協議実施のため体制を充実

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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