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元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:税務当局による国外情報の入手③~情報交換ネットワーク

経済の国際化が進展する中、国際的な脱税及び租税回避行為への対応を強化するため、各国では、租税条約等に基づく情報交換の枠組みの拡大・強化を図っています。我が国の租税条約等のネットワークも、 68条約(110カ国・地域に適用)まで拡大しており、これらの租税条約等の全てに情報交換規定が設けられています。

情報交換制度の仕組みや、実際に情報交換が活用されたケースはこれまで見てきたとおりです。では、我が国では、どのような国と情報交換が行われているのでしょうか。

情報交換は、租税条約等に情報交換ができる旨の規定を置いている国との間で行うことができる制度です。この租税条約等には、二国間の租税条約のほか、情報交換を主たる内容とする情報交換協定、多国間の税務行政執行共助条約があり、これらを併せると、平成29年4月1日現在、110カ国・地域と情報交換が可能となっています。

下図は我が国の租税条約ネットワークであり、ここに記載されている国・地域との租税条約等のすべてに情報交換規定が設けられています。我が国の企業と取引がある国の大部分がこのネットワークでカバーされていることが分かると思います。

 

図 我が国の租税条約ネットワーク
《68条約、110か国・地域/平成29年4月1日現在》

(注1)税務行政執行共助条約が多数国間条約であること、及び旧ソ連・旧チェコスロバキアとの条約が複数国へ承継されていることから、条約等の数と国・地域数が一致しない。
(注2)条約等の数、国・地域数の内訳は以下のとおり。
・二重課税の回避、脱税及び租税回避等への対応を主たる内容とする条約(いわゆる租税条約):55本、66か国・地域
・租税に関する情報交換を主たる内容とする条約(いわゆる情報交換協定) :11本、11か国・地域(図中、(※)で表示)
・税務行政執行共助条約(締約国は我が国を除いて全78か国(図中、国名に下線)、うち我が国と二国間条約を締結していない国は32か国)
・日台民間租税取決め:1本、1地域
(注3)台湾については、公益財団法人交流協会(日本側)と亜東関係協会(台湾側)との間の民間取決め及びその内容を日本国内で実施するための法令によって、全体として租税条約に相当する枠組みを構築。

(出典)財務省ウェブサイト

 

ここで注目すべき点は、オフショア金融センター(特に非居住者向けの金融サービスを促進する制度・仕組等を有する地域)を有する軽課税国・地域(いわゆる「タックスヘイブン」)の税務当局とも情報交換を行っている点でしょう。かつては、顧客の秘密を守ることで知られていたタックスヘイブンですが、近年、タックスヘイブンが脱税やマネーロンダリングの温床になっているとの批判が高まったことから、各国と情報交換協定を締結して情報交換に応ずるようになってきています。代表的なタックスヘイブンとしてはケイマン諸島、英領バージン諸島、バミューダ、リヒテンシュタイン、マカオなどがよく知られています。現在ではこうした国・地域とも情報交換が可能になっているため、例えば、タックスヘイブンに設立した会社の財務情報や株主の情報などが我が国に提供される可能性があります。「タックスヘイブンに財産を置いておけば、税務署は分らないだろう」といった考えは、もはや通用しなくなってきています。

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

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