勤労学生控除改組の提案

さて、以下では勤労学生控除を改組して、より実効性のある学生授業料控除の創設を提案したいと思います。

所得税法は、「居住者が勤労学生である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から27万円を控除する。」と規定しています(所法82)。ここでいう勤労学生とは、①学校教育法に規定する学校の学生、生徒又は児童や、②私立専修学校及び私立各種学校の生徒、③職業訓練法人で認定職業訓練を受ける者が、「自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得…を有するもののうち、合計所得金額が65万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が10万円以下であるもの」です(所法2 ①三十二)。この規定は、いわゆる苦学生を税制上支援するための制度ですが、この制度は必ずしも活用できる局面が多いわけではありません。

もちろん、今日的にも勤労学生控除の意義はあると思われます。そこで、この勤労学生控除制度を抜本的に見直して、従来型の勤労学生支援税制に加えて、就学支援税制として生まれ変わらせることを検討してはどうでしょうか。具体的制度設計については割愛しますが、所得要件の厳格な枠組みの下で、上記の①ないし③の教育費・訓練費を負担した場合、その一定額について税額控除を認めることとしてはどうかという提案です。

教育格差を放置することなく所得格差や資産格差を未然に防止する、あるいはこれ以上の拡大を阻止するために機能する制度設計が望まれます。所得再分配のために租税法において何ができるのかを模索することは制度趣旨からみても重要な視角であると位置づけることができるのです。