国税庁は7月3日、2017年分の路線価(1月1日時点)を公表した。全国の平均変動率は前年比0.4%プラスとなり、2年連続で上昇。東京都の路線価は、バブル期末期を超えて最高額を更新した。上昇の影響は、相続や贈与といった資産移転において今後、納税者に重くのしかかりそうだ。

路線価は、相続税や贈与税における土地等の評価額算定の際の基準となるもの。いわゆる時価とは異なるが、その年の1月1日を評価時点として、公示価格の8割程度を目安に設定されている。
47都道府県のうち、路線価が上昇したのは東京、愛知、大阪など13都道府県。北海道、宮城、広島、福岡など10都道府県で上げ幅が広がった。

上げ幅は宮城が3.7%でトップ。東京、沖縄が3.2%と続く。このほか、福島県(1,9%)、福岡県(1.9%)京都府(1.4%)、愛知県(1.2%)、大阪府(1.2%)、広島県(1.2%)が1%を超える上昇となった。

上げ幅トップの宮城は、地下鉄整備や、震災以降の近隣からの商業機能の集結、東北の物流拠点としての存在感が高まっていることなどが要因とみられる。東京は、五輪に向けた再開発、沖縄は人口増が影響した模様だ。

一方、下落したのは前年より1県減り32県。下げ幅が最も大きかったのは、前年と同じ秋田で2.7%。熊本が昨春の地震の影響で上昇からマイナス0.5%に転じ、岩手はマイナス0.8%から1.0%に下げ幅が拡大した。横ばいは16都市だった。

都道府県庁所在地の最高路線価の上昇は、前年より2市多い27都市。東京・銀座の鳩居堂前が上昇率トップの26.0%で、1平方メートル当たり4032万円まで高騰し、バブル期末期の最高額3650万円を25年ぶりに更新した。

これは、複合商業ビル「ギンザ シックス」などの再開発ラッシュが後押しした模様だ。

また、外国人旅行者の増加でホテルの建設などが進む大都市圏やリゾート地などでも上昇が目立ち、13の都道府県で昨年を上回った。

訪日客が多い京都市20.6%、札幌市17.9%、大阪市、横浜市が15.7%となっている。名古屋市は、大規模再開発が一段落して4.8%と4年ぶりに上昇率が10%を下回った。

こうした一部の路線価上昇は今後、相続税や贈与税に影響してくる。というのも、路線価は、相続税申告の際の土地評価額に直接影響するためだ。

路線価が上昇すれば、相続税も上昇することになる。つまり、路線価が前年比で5~10%でも上昇すると、相続税の負担額が急上昇することになるわけだ。

路線価上昇の対策としては、平時より相続税の試算を行い、財産状況に合わせたポートフォリオを設計することが肝心だ。