政府は、平成29年末で期限が切れる「交際費特例」の延長の検討に入った。現在、全ての企業が上限なしで交際費の50%までが損金算入が可能となっている。また、中小企業においては、特例で「交際費全額を最大800万円まで損金算入」するか有利なほうを選択適用できる。

平成29度末の時限措置だった交際費特例の適用期限が、31年度末まで2年間延長する方向で検討に入った。交際費課税の特例措置は、法人税の減収に繋がることから、2年間の特例として設けられているが、日本経済の消費の伸びが弱いことから、政府は適用期限を31年末までの延長することで検討している。
政府は25年度税制改正で、資本金1億円以下の中小企業に限定して交際費を損金に算入する制度を拡充し、従来は「交際費の9割、最大600万円まで」だったのを、「交際費全額を最大800万円まで」損金として算入できる仕組みとした。さらに、翌年の26年度税制改正では、新たに資本金1億円超の大企業も上限なしで、交際費の50%まで損金算入できる仕組みも導入、中小企業においては、「800万円」か「交際費の50%」までの、どちらか有利な方を選べるようにした。
ただ、そもそも交際費は、法人税法第22条によれば、「販売費、一般管理費その他の費用は、別段の定めがあるものを除き、損金の額に算入する」と規定されているため、企業規模などに関係なく、全額損金算入することができる。
それが昭和29年の租税特別措置法(措置法)の改正によって、損金不算入制度が設けられた。措置法の趣旨は、減価償却の励行、準備金や特別償却制度の創設、資産再評価の強制、高率配当の自粛、増資配当の免税等の措置が資本充実のための諸施策として講じられ、交際費課税についても、その一環として、できる限り冗費を節約するために設けられた。
それがさらに措置法により、前述のような取り扱いにした。つまり、「損金OK」としながらも、措置法で「基本NG(中小企業には一部配慮)」と規制を掛け、さらにその規制を措置法で「一部損金OK」と規制緩和しているのだ。
政府としては、引き続き企業に飲食店などでの接待を促し、消費の拡大を通じて経済活性化を図る方針。厚生労働省の30年度税制改正要望に盛り込まれる可能性が高い。