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“税界”の裏話 シロアリ退治も税金の恩典アリ 5万円以上の費用負担したら雑損控除

前回、個人で活用できる医療費控除として子どもの矯正について紹介したが、個人の税金の恩典シリーズとしてシロアリ退治も対象になることをご存知だろうか。

先日、TVのバラエティ番組で、中古の家をリフォームして、格安物件に住むという企画があった。その中古住宅は、かなり前から人は住んでおらず、今となっては、人が住むためにはリフォームが必要な物件だった。リフォームのため、壁を剥がしてみるとシロアリが家中の壁に巣を作っていた。

ここまでいかなくても、戸建て住宅に長いこと住んでいると、シロアリ被害にあっていることがある。早く対処しないと、手の付けられない事態になりかねない。こうしたシロアリ駆除等に掛かった費用が、税金で戻ってくることを知らない人は多いようだ。かく言う、筆者の両親もその一人だ。

シロアリ駆除については、所得税法施行令第9条(災害の範囲)に規定する「法第二条第一項第二十七号(災害の意義)に規定する政令で定める災害は、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害とする」に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となるのだ。

国税庁のホームページの「質疑応答事例」の中の「所得税目次一覧」にある「シロアリの駆除費用」についても、このことは詳しく紹介されている。ちなみに、所得税法施行令第206条第1項第3号(雑損控除の対象となる雑損失の範囲等)に規定する「被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」とは、「切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するものをいい(所得税基本通達70-10の2)、シロアリの被害を事前に防止するための費用及びシロアリの駆除とともに行う予防のための費用は、応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象となりません」としている。つまり、シロアリ退治といっても予防的な意味合いでの“退治費用”に関しては、雑損控除の対象ではないと「照会事案」では説明している。

なお、雑損控除とは、災害または盗難、横領によって、資産の損害を受けた場合等に、一定の金額の所得控除を受けることができるもの。

要件としては、資産の所有者が次のいずれかであること。

① 納税者
② 納税者と「生計を一」にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者。

棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。ここでいう「生活に通常必要でない資産」とは、たとえば、別荘など趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれる)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいう。

雑損控除の計算方法は、次の二つのうちいずれか多い方の金額となる。

(1) (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

つまり、5万円以上掛かったら、5万円を越える部分が所得から差し引けるということになる。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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