海外出張が多い会社では、旅費規程を作り、日当や宿泊代を支給するケースが多く見られます。日当や宿泊費があまりに高額な場合、給与として課税される可能性があります。では、適正金額を算定する上で、何か参考となるようなデータはあるのでしょうか。
海外出張が多い会社では、旅費規程を作り、日当や宿泊代を支給するケースが多く見られます。旅費規程に基づいて支給された日当や宿泊費は、原則として会社の損金に算入できるため、節税策として利用されることもあります。しかし、日当や宿泊費があまりに高額な場合、給与として課税される可能性があります。
■非課税となる旅費
非課税となる旅費については、所得税法では、「その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの」(所法9①四)と規定されています。
「その旅行について通常必要であると認められるもの」かどうかについては、次の事項を勘案するものとされています(所基通9-3)。
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
同業他社の支給額の情報を入手することは通常、困難ですので、日当や宿泊費の世間相場がいくら位なのか、という点は気になるところです。実務上、よく参照されるのは、情報が公開されている「国家公務員等の旅費に関する法律」で定められている支給額です。また、産労総合研究所が公表している「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」の統計データも参考になると思われます。
■国家公務員等の旅費に関する法律
【外国出張の旅費】
(備考)
・指定都市とは、財務省令で定める都市の地域(シンガポール、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントン、ジュネーブ、ロンドン、モスクワ、パリ、アブダビ、ジッダ、クウェート、リヤド及びアビジャン )をいう。
・甲地方とは、北米地域、欧州地域及び中近東地域として財務省令で定める地域のうち指定都市の地域以外の地域で財務省令で定める地域をいう。
・丙地方とは、アジア地域(本邦を除く)、中南米地域、大洋州地域、アフリカ地域及び南極地域として財務省令で定める地域のうち指定都市の地域以外の地域で財務省令で定める地域をいう。
・乙地方とは、指定都市、甲地方及び丙地方の地域以外の地域(本邦を除く)をいう。
■2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所では、「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」を実施しました。その結果がウェブサイトで公表されています。以下に掲載するデータは海外出張に関係するものです。
【地域別、役職別にみた日当・宿泊料(円建て企業)】
なお、海外出張時の航空機の利用クラス基準について,出張旅費規程等でどう定められているかをみると,役員は「ビジネスクラス」32.8%、「エコノミークラス」32.8%、「ファーストクラス」2.3%。部長クラスは「ビジネスクラス」4.6%、「エコノミークラス」71.3%。課長クラスは「ビジネスクラス」0.6%、「エコノミークラス」75.3%。一般社員は「ビジネスクラス」とする企業はなく「エコノミークラス」76.4%、というデータが得られています。
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