情報共有ツール「Stock(ストック)」を提供する株式会社リンクライブ(東京・千代田区, 代表取締役社長 澤村 大輔氏 以下、「リンクライブ」)。業務効率化を実現するために欠かせなくなったビジネスチャットツールだが、数多くあるビジネスチャットツールとStockは何が違い、働き方はどう変わるのか澤村代表取締役社長に聞いた。
―近年、チャットツール全般がビジネスシーンで普及していますが、なぜだと思いますか。
澤村 個人でLINEなどのチャットを使う機会が増えたことが影響していると思います。ビジネスシーンではその後、アメリカで「Slack(スラック)」が爆発的に普及し、「クールだ!」と、これがIT系のビジネスマンを中心に日本でも普及しました。
それまでは、仕事のやり取りはメールで行うのが一般的でしたが、メールでのやりとりは、本題に入る前にタイトルを付けたり、「○×様 お世話になっております」といった定型文を入れて、誤送信しないように丁寧にチェックしてからやっと送信します。
それがチャットなら、手間をかけずに、会話する感覚でやり取りできるため、コミュニケーションが至極シンプルになります。これがビジネスシーンでもチャットが広がった背景だと思います。
チャットツールの気軽さをさらに進化
―Stockとほかのチャットツールの違いを教えてください。
澤村 チャットツールは便利で簡単に使えますが、一方で会話形式で書き込みされていくので、「情報が流れていってしまうこと」が課題の一つでした。日常会話の場合、情報が流れて行っても問題ないですが、ビジネスシーンではそうはいきません。
士業の先生や一般のビジネスパーソンは、数多くの案件を同時に動かしていることはざらです。情報がどんどん流れて行ってしまっては、どれが何の話か追い切れなくなってしまいます。
この、「情報が流れて行ってしまうこと」と「話題が混ざってしまうこと」を解消する情報共有ツールとしてStockを考えました。
―具体的にどのように情報が流れてしまうことを解消したのですか。
澤村 まず、ストックはフォルダ単位で情報管理ができます。各フォルダの中にはノートを格納しています。あたかも一つひとつのファイルの中に書類が格納されているようなイメージです。たとえば、クライアントである「○×株式会社」のファイルの中に議事録を作るようにノートを打合せ単位で作っていくと、各ノートはタイトル単位で整理されます。
チャットでやりとりするようにテキスト打つだけで、所定のフォルダの中に自動保存されていくので、本棚に製本作業なしでクライアントごとの議事録がまとめられていくイメージです。そのため、チーム単位でリアルタイムに情報共有が可能になります。
保存されたノートは削除もできますし、削除した場合も誤削除防止で30日間はゴミ箱に残る仕組みになっています。すぐに必要ない情報は、別の場所に取って置くこともできます。検索機能も充実しており、非常に直感的なキーワード検索をすることも可能です。
―そのほかに特徴はありますか。
澤村 ノートに対してタスク設定ができることも特徴の一つです。たとえば、所長が期限を決めて「青色申告書の送付」と、タスクをスタッフに設定します。設定したタスクは行うべき業務別、担当者別に全員の内容をノートを横断して確認できるので、チームのなかで誰が遅れているのかも容易にチェックできます。
ですから、所長や上司は的確なタイミングでスタッフをフォローすることもできます。つまり、タスクを一つひとつ遂行していけば仕事が完了するというわけです。
―消費税の届出関係は会計事務所ではミスも多く、税理士損害賠償請求事件も毎年多くありますが、そうしたミスも防げますね。
澤村 その通りです。とくに担当スタッフが退職等でいなくなったあと、その業務が放置され誰も気が付かず結局届出が出されないということがありますが、そうしたミスはなくせます。
何十社もクライアントを抱えている場合、さまざまな場所に格納された情報を探していくことはとても手間でした。本人も探すのが大変なのに、上司も仕事がどこまで完了しているのか、どんな仕事に今取り組んでいるのか把握することがこれまでのチャットツールでは大変に困難でした。それがStockではとても簡単にできます。
―ほかに、特筆な使い方や機能はありますか?
澤村 特定のフォルダ内にあるノートに対してチャットができることです。たとえば会議の議事録に対して、「内容に齟齬はありませんか?」などとノートに対してチャットをすることができます。
ノート単位でやり取りができることのよさは、必要な情報へのアクセスが早くなることです。話している話題が「○×会社の12月度の打合せの件」というのが明確なので、振り返りをしたりをするときも便利です。
もう一つ、好評な機能が「テンプレート機能」です。これば税理士事務所からの要望に応えるかたちで追加しました。小規模の税理士事務所の場合、所長とスタッフとのレベルにギャップがある事務所も少なくないと伺っています。
クライアントのところへ行って、ヒアリングしても聞きもれがあって、結局所長自身が出向くことになってしまう。この「テンプレート機能」を使えば、スタッフが聞くべき内容を細かく設定し、商談の際、すべて聞いてくるようにすれば、最低限聞きたいことは確認が取れます。
所長と同じレベルでヒアリングできなくても、80点くらいのやりとりができるようになります。所長とスタッフ間との能力差をボトムアップできる実用性の高い機能だと思います。
―紙で管理していたときと比べると業務効率にはどのくらいの差があるのでしょうか。
澤村 明確に非常に大きな違いが出せると思っています。Stockを使っていただければ、スタッフの毎日の業務内容と進捗、クライアントとのやり取りなどの確認が容易になるので、「忘れていた」といったことや、必要な情報を振り返って探すこともなくなります。
クライアントから依頼されたにも関わらず、前回の打合せ内容を覚えていないのはストレスですよね。このストレスフリーの状態は、クライアントさんの満足度もあがるし、それ以前に比べてとても大きな価値があるのではないでしょうか。