2018年10月から、たばこ税が増税となる。複数年掛けて段階的に上げていくもので、紙巻きたばこについては4年で3円、加熱式は5年かけて現在の紙巻の1~8割程度の税率を、7~8割程度まで引き上げる。前回の税率アップから13年で6.5円の増税。喫煙者には厳しい時代がきた。

平成30年10月からたばこ税が増税となる。紙巻たばこは1円増税。消費税が10%となる平成31年度は値上げされないものの、32年度から2年間で更に1円ずつ増税する。政府としては、33年度までに3円増税し、2400億円の増収を見込む。3円の増税により、紙巻きたばこは現在の440円から500円程度になる。

また、今回の改正では、市場が急拡大している加熱式も増税し、税額を紙巻に近づける。こちらは、平成30年から5年連続で増税し、新課税方式に移行する。

現在、過熱式は日本たばこ産業(JT)など3社が国内で製品を販売。「パイプたばこ」に分類し、税額計算は葉タバコを詰めるスティックなどの重量を基に行っている。たとえば、紙巻きたばこ1本のたばこ税額(約12.2円)をそのまま課すのではなく、たばこ葉が詰められたスティックやカプセル、フィルターを含めた重量1グラムを紙巻き1本に換算し課税。この計算方法で米フィリップ・モリスの「アイコス」の主力製品の重量は1箱当たり15.7グラム。それに基づいて、紙巻きたばこ15.7本分(約192円)が課税されている。JTの「プルーム・テック」はたばこ葉を粉末状に近づけるなどして、重量はわずか2.8グラムと、紙巻きたばこ2.8本分(約34円)しか課税されていない。プルーム・テックの税額は消費税と合わせても約68円にとどまっている。

現在の一箱440円商品のたばこの税負担内訳と税額改正

オーストラリアではひと箱2200円 

前回のたばこ税の増税は平成22年。このときは3.5円値上げされた。あれから13年で6.5円の値上ということになる。著者は、たばこの嗜みはないから影響はないのだが、大学を卒業して社会人になりたてのころは220円~240円程度だったと記憶しているから、2倍以上の値上りは愛煙家にとってはきついだろう。

とはいうものの、増税となっても日本は諸外国の中でそれほど高いほうではない。なんとオーストラリアはひと箱、日本円に換算すると約2200円で販売している。ニュージーランドも約2千円だ。

アイルランド島でも約1800円、マルタ約1700円、ノルウェー約1500円と高級品だ。

たばこ税の増税は、何も日本だけの話ではない。諸外国税も増税路線にあり、前述のオーストラリアは2020年に12.5%増税し、ひと箱約3500円まで値上がる。ニュージーランドも2020年までに段階的に値上げを実施、3千円程度にする予定だ。

フランスも現在の約900円から約1300円まで引き上げる計画を発表している。時期は決まっていないが、エドゥーアール・フィリップ首相は高らかに掲げている。

増税のターゲットして、たばこが狙われやすいのは、健康志向が強い中、世論の賛成を得やくすいためだ。厚生労働省は、世界保健機構(WHO)の指摘を取り上げ、喫煙による経済損失はたばこ関連税収に2.6倍に達すると指摘する。

国税庁によると、たばこの販売数量は平成22年度の増税以前は年間約2千億本を越えていたが、増税後は急速に減少し、平成28年度は1680億本まで落ち込んだ。平成29年度は、平成27年度税制改正により旧3級品とよばれ特別税率が適用されていた「わかば」「エコー」「ウルマ」「バイオレット」「しんせい」「ゴールデンバット」の6銘柄について30円引き上げており、この影響も今後でてくることが予想される(*)。

ただ興味深いのは、たばこ税の税率アップの影響で、販売総数は減少傾向にあるものの、税収自体は2兆円台をキープしている点だ。平成22年の3.5円値上げで2兆300億円まで落ち込んだが、その後は徐々に回復し、同24年には2兆3800億円となった。