JTは財務省・国税庁の天下り先
「たばこ」と「税金」は、日本にとっては重要な税収だけに切っても切り離せない関係だが、JT幹部人事と、税金の元締め「財務省・国税庁」とも実は切っても切り離せない関係にあるのはご存知だろうか。2018年1月、JTは海外統括子会社のJTインターナショナル副社長だった寺畠正道氏を執行役員社長にし、3月27日の定時株主総会を経て代表取締役社長に就任させる予定でいる。前社長の小泉光臣氏は2017年12月31日で社長を退任しており、株主総会を経て代表取締役からも退く。また、新貝康司副社長も退任することになっており、両氏ともに顧問や相談役には就かない。一方で、元財務次官の丹呉泰健会長は留任することが決まっており、財務省・国税庁は貴重な天下りポストを死守した。
もともと、日本専売公社が民営化してできたころのJTトップは、大蔵(現財務省)官僚の指定席で、初代社長は元大蔵事務次官の長岡實氏(1985~88)、第2代は元大蔵省証券局長で元国税庁長官の水野繁(88年~94年)、第3代は消費税導入に功績のある元大蔵省主税局長で元国税庁長官の水野勝氏(94年~2000年)。
第4代からは民主党政権となり、「天下り根絶」により内部から昇格。本田勝彦氏(00年~06年)、第5代の木村宏氏(06年~12年)、第6代の小泉氏(12年~17年)と続く。ただ、本田社長任後に財務省が動く。すぐさま事務次官OBの小川是氏を顧問に送り込み、1年後には会長の椅子に就ける。04年6月、小川氏の後任として、大蔵省幹部OBの涌井洋治氏が会長に就任。会長は小川・涌井の旧大蔵省出身者、社長は本田・木村の旧専売公社出身者と棲み分けが続いた。これも、小泉社長体制となり、財務省・国税庁出身者は一人もいなくなる。きっかけは、東日本大震災で、政府・民主党が震災復興財源捻出を目的にJT株の一部を売却する方針を打ち出したこと。それまで政府(名義上は財務大臣)はJT株の50.01%を保有する筆頭株主だった。この売却により3分も1まで保有率を引き下げた。これにより、木村会長―小泉社長体制となり、財務省・国税庁出身者は一人もいなくなった。
ところが自民党政権が復活し、安倍晋三首相の誕生で一変。14年6月の株主総会で丹呉氏が会長に就任。財務省・国税庁はJTの取締役ポストの奪還に成功したのだ。丹呉氏は、理財局長、主計局長、財務事務次官などを経て、安倍政権の内閣官房参与を務めたスーパーエリートだ。最近のJTのトップは6年務めるのが慣例となっていることから、丹呉氏は20年まで会長にとどまるものと思われる。退任後は、そのポストを財務省出身者に譲ると予想され、JTと財務省・国税庁は蜜月関係をこれからも続きそうだ。
財務省官僚とJTで思い出深いのが、かつてJTの役員になった方が、官僚時代はたばこを吸っていなかったのに、JT入社後、喫煙者に変わっていたことだ。おもむろにたばこを吸いだしたので「昔から吸っていましたっけ?」と聞くと、本人曰く「JTの役員がたばこ嫌いはいかがなものかと思ってね・・・」とニヤリとしていた。今でも懐かしく、妙に印象深く覚えている出来事だ。
(*)平成30年度税制改正では、国及び地方のたばこ税並びにたばこ特別税の税率の経過措置について、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの間の税率は、同年9月30日まで適用するとしている。




