住宅税制措置と民泊

住宅の税制措置を受けている建物を民泊として使用した場合や民泊として利用していた建物を譲渡した場合の住宅税制措置の適否がどうなるのか心配の者もいるだろう。実際、注意が必要なケースもある。

まず、適用者が多い住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を適用している住宅を民泊として使用してその収入をローン返済に充てようと考えているサラリーマンもいるだろうが、その場合には注意が必要だ。

なぜなら、住宅宿泊事業法上、民泊に利用できる家屋は、前述のとおり、①現に人の生活の本拠として使用されている家屋、②入居者の募集が行われている家屋又は③随時その所有者等の居住の用に供されている家屋とされている。他方、住宅借入金等特別控除の適用要件には、床面積の2分の1以上に相当する部分を専ら自己の居住の用に供しているなどの要件を満たす必要があることから、実質、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができるのは、①現に人の生活の本拠として使用されている家屋を利用している場合に限られることになる。

なお、床面積2分の1以上となるかどうかは、①民泊に利用しない生活用分野と②生活用にも民泊用にも利用する併用部分のうち、主に生活用として利用する部分を合わせた面積が総床面積の2分の1以上あるかどうかで判断する。

次に、居住用家屋を利用して住宅宿泊事業を行っているが、この先、家屋を譲渡した場合に居住用財産の3千万円の特別控除の適用を受けられるかどうか。

この場合、特別控除の要件が、①現に居住の用に供している家屋を譲渡するか、②居住の用に供さなくなった家屋を、居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに譲渡する場合とされているので、現に居住の用に供している家屋であれば、原則として特別控除の適用は受けられる。ただし、その家屋のうちに特別控除の適用対象となるのは、“居住の用に供している部分”とされているので、居住の用に供しているかどうかその家屋の構造や設備の状況及び実際の利用状況などを総合勘案して判断した上で、適用できる割合が決まることとなる。

なお、この特例は居住の用に供さなくなった後の家屋の利用状況については特段の定めがないので、譲渡した民泊に利用している家屋が、「居住の用に供さなくなった家屋」である場合には、その譲渡が居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに行われていれば、原則、特例は適用できることとなる。

宿泊料に消費税はかかるのか

宿泊者から受取る宿泊料金に消費税が課されるかどうかについては、旅館業法の許可を得る必要とされていることから、一般的に旅館業法第2条第1項に規定する簡易宿所であるとして課税対象になるものと考えられている一方で、消費税法では住宅の貸付け(居住用の家賃)について非課税扱いとされていることから、民泊の住宅の賃料についても単純に非課税と考えている者もいる。

このような疑問も出ていることから、国税庁では民泊新法施行前に取り扱いを明らかにするため、消費税法基本通達(平成7年12月25日付課消2-25ほか4課共同「消費税法基本通達の制定について」(法令解釈通達)の別冊)を見直すとともに、「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について」と題した内部情報も出している。

通達の見直しでは、同通達6-13-4(旅館業に該当するものの範囲)の最後に注書きとして「住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第2条第3項《定義》に規定する住宅宿泊事業は、旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に該当することから、非課税とはならないことに留意する。」との文言が付け加えられており、ホテルや旅館などと同様に消費税の課税対象に当たることを明確にしている。ちなみに、貸付期間が1月未満の場合も消費税は課税対象とされている。

一方で、課税対象となることから、当課税期間の基準期間(個人事業者の方は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が1千万円以下であれば、当課税期間は原則として免税事業者に該当するので、消費税の申告・納税義務はない。

 

2020年の東京オリンピックに向けてすでに宿泊施設の不足が懸念されており、民泊の需要はさらに高まる。当然、異業種の企業等も参入してくるだろうが、空き家、空き部屋を持つ資産家や住宅ローンを抱えるサラリーマン等の個人もこの機会に稼ごうと考えている者も少なくない。一方、税務当局ではすでに民泊事業に注視していることから、事業者となった場合は税務処理をしっかり確認しておきたいところだ。