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【コラム】財務省の花の54年組み 安倍首相肝いりの異例トップ人事

財務省で有名なのが、「花の54年組み」。現在の財務省事務次官である田中一穂氏も、この54年組みの一人。今回は、この「花の54年組み」について紹介する。

花の昭和54年組み-。「いきなり何のこと?」と思われた方も多いだろうが、今回は、消費増税を実現した、この「花の54年組み」の話を書く。

「花の54年組み」と聞いてピンと来た方は、なかなかの事情通。何かというと、現在の財務省事務次官の田中一穂氏ら、昭和54年に当時の大蔵省に入所したキャリア組みのことだ。前事務次官の香川俊介氏(故人)、前々事務次官の木下康司氏(コロンビア大学客員研究員、日本政策投資銀行副社長)と、同期から3代続けて事務次官を出している、特別な期なのだ。他にも安倍晋三政権の影のキーマンと言われる政治家、一億総活躍担当の加藤勝信氏が同期だ。

加藤大臣のことは別にして、なぜ、こんな話を持ち出したかというと、この3氏が消費税8%、10%への道筋を作り、増税を牽引してきた人たちだからだ。木下氏が増税機運を作り出し、香川氏が8%を実現。経ち切れになりそうな10%アップを維持させたのが田中事務次官だ。消費税増税に関しては、さまざまな意見もあるが、個人的には所得税、法人税は下げても、消費税はある程度までは上げていくのが、これからの日本にとって大事だと感じている。

ここでは消費増税の是非論はしないが、同期から3代続けての事務次官を出したことは前例にない。3氏ともに東大法学部卒、主計局長からの財務次官ポスト。同期3代が実現したのは、安倍首相の強い希望からだと言われている。田中事務次官は、消費増税の必要性を裏付ける「税と社会保障の一体改革」のスキーム作りで主導的な役割を担ったほか、第一次安倍政権では首相秘書官を務め、安倍首相から絶大な信用を集めている。

安倍首相としては、香川氏が事務次官ポストに就くときから、田中氏をなんとしても事務次官に据えたかった。官僚のポストは、ある程度いくと決まってくるが、入省期でバランスよく配置される。同期で続けてしまうと、バランスが崩れてしまう。そのバランスを崩してまでも、安倍首相は田中氏を押していた。それだけ信頼しきっている田中事務次官だが、昨年末の軽減税率導入をめぐっては、財務省が作成した「消費増税分給付案」を官邸が採用しなかった。安倍首相も第一次内閣では「お友達内閣」と揶揄されただけに、今回はシビアだった。自民税調の理解を得、更には安倍首相との関係を考えれば問題なく採用されること思っていたと思うが、田中事務次官もこれは誤算だっただろう。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
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