全国を飛び回って見出した地方でITの活用が進まない2つの理由

──それにしても、どうして地方ではITの利活用が進まないのでしょうか。

確かに、インターネットが日本の家庭に普及しはじめて20年以上が経っているのに、特に地方はIT活用が遅々として進んでいないのはおかしな話です。

これまで全国を飛び回ってきた体感として、地方のIT活用はその地域の個人や企業の10%どころか5%もできていないように思えます。一方で、これまで多くのIT企業が生まれてきました。しかしそのほとんどが、地方では成功していないわけです。

私は実際に地方にいきまくって、地方の方々の課題と向き合い続けたことで、分かったことが2つありました。

1つ目は「技術的な導入ハードル」。これは「導入コスト」と「技術的ハードル(ITリテラシーの問題)」があります。

とはいえこれに関しては、IT企業各社の努力により、安価で使えるサービスや簡単に使えるサービスは増えているので、ここをクリアしている企業は実はけっこうあります。

ただ、私自身が地方出身なのでわかるのですが、地方の方々は、安いから簡単だからという理由で東京のIT企業のサービスをすぐ使ってくれるほど甘くはありません。

ここで何より大切にすべきなのは2つ目の「信頼」なんです。
中小零細企業の経営者や個人・個人事業主の皆さんがITを「使わない」理由は「いいサービスがないから」ではなく「ネットに対する不安や苦手意識」だったり「サービス提供者やサービス紹介者への信頼のなさ」が大きいんです。

それならテレビCMや新聞広告を打てばいいかというと、そうではなく、信頼は人と人の繋がりでしか生まれません。

対面で話をして、人となりを知ってもらう。そして、地道ですが信頼の輪を広げていく。信頼する人から「これいいよ。使ってみな」と言われると、「それならば」となる可能性は高いです。

ただそれでも「使えない」人も多い。パソコンの電源の入れ方やネットのつなぎ方さえも知らない方々にとってはそれでも「私なんかができるわけがない」と思ってしまう。だからこそ信頼できる人の「一緒にやろう♪」という寄り添う気持ちが大事なんです。

つまりは、我々のサービスの前に「信頼」があり、信頼の輪を広げていくからこそ「利用」が増えていくわけです。

──情報が氾濫する中、人は昔以上に信頼できる身近な人の話を重視しています。嘘、デマ情報も多く、その情報が正しいか、誰が発信している情報なのか見極めているわけですが、サービス拡大のために御社が取り組んでいることとは?

昨年より「47都道府県ペライチ認定サポーター制度」を設け、各地域の人々にWebページの作成方法や学びの場を提供しています。

現在は弊社の理念に賛同してくださった200人以上のペライチサポーターが全国ほぼ全ての都道府県におり、この方々が無償で自発的にペライチやペライチの使い方や活用方法を広めてくれています。

われわれがやっているのは、シンプルに言うとコミュニティづくり。ペライチサポーターが各地域で目の前の人の悩みごとを聞いたうえで、最適なソリューションを提供するという活動です。

取材時、フェイスブックの「いいね!」は6000を突破。

こうしたやり取りのなかで地域の方々からの信頼が得られれば、おのずとペライチユーザーは増えるはずと考えています。

都会のIT企業からすると「メリットのあるサービスなら使うはず」と考えるでしょうが、地方の人からするとメリットよりも先に「俺の酒が飲めないのか」という世界(笑)。

これは私が地方を回って中小企業の社長と触れるなかでリアルに感じたことです。だからこそ各地にいるサポーターの方々が直に広めてくださることに、大きな意味があるわけです。

地方を盛り上げて日本を元気に!

──IT企業が苦手なアナログな展開だけに、十分に戦っていけるマーケットですね。

なぜ都心部の大手IT企業が、地方にITリテラシーの低さを感じながらその問題を解決できなかったというと、マーケットが小さいうえに手間がかかり、労力の割にお金にならないからです。つまり、普通にやっても「割に合わない」のです。

しかし、当社はもともと地方の活性化をテーマに掲げて事業を始め、損得抜きに活動してきました。何より地方が「好き」なのです。だからこそ継続できますし、全国のサポーターをはじめ地域の皆さんの「共感」を得られているんだと思います。

地方への想いではどんなIT企業にも負ける気はしません。将来もし我々が上場することがあれば、そういった全国のサポーターさんやファンの方々にこそ我々の株式をもっていただきたい、そう願っています。

ペライチポーズでパチリ。

──芸能人の地方営業みたいなもので、地道なファン獲得、交流というわけですね。

はい。あとは人々の心に火をつけるという意味で今年の3月10日、11日に主催したイベントが「おうえんフェス」。人間は何かに挑戦して失敗したり無力感を感じることによって、人に優しくできたり、成長できたり、新たな課題に気づけたりするので、世の中にチャンレンジャーを増やしたいと思っています。

そこで、日本が世界で一番悲しみと想いと願いで溢れる「3.11」を「おうえんの日」として申請し、認定いただきました。それらの想いや願いのパワーをポジティブに転換することで、日本の未来を明るく照らす希望の光にしたいと考えたのです。

イベント実施の1カ月半前から広告をつかわずにフェイスブックなどのSNSのみで告知したところ、イベントの素人集団であった我々でも「共感の力」によって、最終的には全世界60拠点、約2万3千人を巻き込んだ一大イベントにすることができました。

実際に何をするかと言うと、3月10日にどこかの拠点にいき、チャレンジ宣言というのをします。自分の夢や目標に向かって一歩を踏み出すための宣言です。

3月11日にそれを実行に移すのですが、それにあたり「今の自分に足りないもの」も併せて自分以外の来場者に開示します。自分に足りないものを開示することで、周りの皆さんから具体的な「支援」や「応援」をもらえる可能性が高まります。

フェスでは「One Challenge, More Ooen.」を掲げ、自分自身の1つのチャレンジと、それ以上の誰かへの具体的な応援をしよう!を実行しました。

たとえまだ自分のことで精一杯で、誰かを応援することが難しい人がいたとしても、応援されることで自分の幸せのグラスが満たされ、それが溢れてきたら他の誰かを応援してあげるという「応援の恩送り」の流れを作っていきたいと考えています。

応援の力が、よりよい社会の実現と世界平和に繋がっていく活動を広げていきます。

──全国各地に多くのファンやサポーターがいれば、新たなサービス提供も広めやすいですよね。

当社は、「日本にいる1億人がITを利活用できる社会を作りたい」と考えていて、その実現のための手段は何でもいいと思っており、そのカギは地方にあると思っています。

ITの力を借りてサービスや商品の価値で勝負できる世界が実現できれば、今よりずっと良い社会になっていくと思うのです。そして、将来的にはこうした一連の流れをグローバル展開したいと考えています。

小学生のころから現在に至るまで持ち続けている私の夢は、実は「世界平和」。そのために「ペライチ」や「地方創生」や「おうえんフェス」などがあって、これらは根本ですべて繋がっています。

こうした取り組みやファンづくり、コミュニティづくりを通じて日本の情熱の総量が上がっていけば、本当の意味で日本の未来は明るくなると信じています。

株式会社ペライチ
創業者 山下翔一

1983年佐賀県生まれ。広島大学大学院理学研究科数学専攻博士課程前期修了。広告会社にて上場企業を中心に30社以上の経営戦略・マーケティング・PR等を請負い、2014年4月に㈱ホットスタートアップ(現 ㈱ペライチ)を創業。
2015年4月ペライチをリリース。一般財団法人カブジチコンソーシアムの代表理事なども歴任する。

■株式会社ペライチ
https://peraichi.co.jp/

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