I am a Taxman
ところで、「I am a Tariff Man.(私は税関職員だ)」というフレーズに似た歌詞がビートルズの曲にあります。ご存じの方も多いでしょう、ジョージ・ハリスン(George Harrison)作曲の「TAXMAN」です。
この歌の中では、「cause I am a Taxman」という歌詞があります。「I am a Taxman」と歌う歌詞の本人(税務職員)は、税金でたくさんの取り分をとるのが自らの仕事のように歌っているのですが、これは、あまりにも税負担が重すぎることに対するジョージ・ハリスン流の揶揄でもあります。
ビートルズのレコーディングエンジニアを務めたジェフ・エメリック(Geff Emerick)は、「ジョージは税金を払うのが嫌だった」と回想しています(ジェフ・エメリック=ハワード・マッセイ(Howard Massey)『HERE, THERE AND EVERYWHERE〔ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実〕』〔奥田祐士訳〕197頁(川出書房新社2016))。
内国歳入庁に目を付けられていたジョージ・ハリスンは、「TAXMAN」という曲を書き、皮肉たっぷりな歌詞を付けたというわけです。例えば、「My advice to those who die/declare the pennies on your eyes:死んでいく皆さんにご忠告を/目の上の六文銭もきちんと申告しましょう」といったような歌詞にジョージの想いが表れているでしょう。
さて、この曲には逸話があります。ジョージ・ハリスンが作った曲でありながらも、彼はなかなかギターソロをうまく演奏できなかったのです。録音の際にテープスピードを半分に落としてもまともに演奏できなかったといわれていますが、2時間ほどの苦闘の末、しびれを切らしたポール・マッカートニー(Paul McCartney)がジョージの代わりにギターを演奏したところ、耳をつんざくばかりの激しい熱気のこもった演奏がなされ、僅か1、2テイクでOKになったといいます。
当の作曲家であるジョージ・ハリスンはこの皮肉たっぷりの名曲を演奏させてもらえなかったのです。ジョージは、I am a Taxman と歌ったのですが、I am a lead guitarlistではなかったのです。
さて、前述したとおり、トランプ大統領は、I am a Tariffmanと述べたのですが、彼はいつまでI am a leaderと言っていられるのでしょうか。
トランプ大統領の発言するI am a Tariffmanと、ビートルズの歌うI am a Taxmanは、いずれも、徴税権力を背景にした課税当局者のもの言いではありますが、トランプ大統領が分断を志向しているのに対して、ビートルズは分断された世界に協調を呼びかけたという意味で、その方向性が真逆だという点は興味深いものがありましょう。
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