納税手段としての貨幣価値―MMT理論―
ところで、貨幣の定義については様々な学説がありますが、主流派経済学者の「商品貨幣論」に対して、近時MMT理論として注目を集めている「信用貨幣論」があります(詳細は前号「納税のための貨幣〔前編〕―MMT理論と偽札―」参照)。
「信用貨幣論」は、貨幣とは租税債務の解消手段であると解し、政府が発行した「借用証書」たる「貨幣」を政府に持っていくと、「租税債務」を解消してもらえることに着目します。このように、そもそもの前提として、「貨幣」とは、納税手段に使用する「借用証書」であるという考え方に立つ見解が、近時話題となっている信用貨幣論によるMMT理論です。
要するに、人々がお札という単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのは、その紙切れで税金が払えるからということですが、税金を扱う現在でいうところの財務省主税局長のポストにいた渋沢栄一が、後に納税の信用証書たる1万円札の顔となるのは興味深いものがありましょう。
さて、新しく新札が使用される令和6年の翌年、我が国に万博がやって来ます(大阪・関西万博)。
上述のとおり、渋沢は、1867年(慶應3年)にフランス皇帝ナポレオン3世から万博への元首招請を受け、徳川慶喜の弟、昭武の随員としてパリ万博に視察しているわけですが、それから約160年近く経ち、大阪で万博が開かれます。さすがの渋沢も、よもや我が国で万博が開かれ、そこで自分の顔を刷った紙幣が使われるとは思いもしなかったでしょう。
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