5.解説
(1)本件顧客から見た本件キャッシュバックの取扱い
本件キャッシュバックを収受する本件顧客の立場で考えると、請求人の主張もあながち不合理ではないといえる。
けだし、本件顧客が事業者であるとして、同者がインターネットを利用する目的で請求人に利用申込みを行ったとすれば、本件キャッシュバックは、その経済実態から、インターネット利用に係る対価の一部返還と考えられないことはないからである。
確かに、本件キャッシュバックは、インターネット回線利用の契約相手先であるA社等の電子通信事業者からの支払いではなく、回線利用の取次業者たる請求人からのものではあるが、両者を一体のものとして誤認する可能性は否定できない。
何故なら、本件顧客から見て両者を別段区別する理由に乏しいからである。
そうすると、本件キャッシュバックについて、本件顧客の側では、消費税の計算上、仕入れに係る対価の返還として処理してしまうこともあり得る。
しかし、本件において審判所の見解を採用する限り、そのような処理は誤りであり、本来消費税の不課税取引として「雑収入」に計上するのが正解といえる。
本件において、キャッシュバックを収受する側が、入金額を誤りなく処理するためには、来年10月から本格稼働する適格インボイス制度導入[2]まで待つ必要がありそうである。
[2] 令和5年10月以降は、仕入れに係る対価の返還として処理するためには、得意先から「適格返還請求書」の交付を受けなければならなくなる(新消法57の4③)。
(2)消費者に対するキャッシュバック
国税庁HP・質疑応答事例には、「消費者に対するキャッシュバックサービスの課税関係」[3]が掲載されており、そこでは、ソフトウェアメーカーの事例で、同者が製品の購入者に対して行うキャッシュバックは、売上げに係る対価の返還等に該当するとしている。
これは、課税資産の譲渡等との対応関係が明確なものの例であるが、本件において、仮にキャッシュバックの負担者・支払者が電気通信事業者であれば、(購入者である)本件顧客は、仕入れに係る対価の返還として取扱うことになろう。
また、この場合、仮に請求人経由でキャッシュバックが支払われる場合は、請求人サイドではあくまで不課税取引であり、「預り金」等の勘定科目でキャッシュバックに相当する入出金を記録することになる。
[3] https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/15/02.htm
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