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◇納期限の延長

国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限が、土曜日、日曜日及び祝祭日に当たるときは、これらの日の翌日が期限とみなされます(国税通則法第10条第2項、国税通則法施行令第2条第2項)。

また、災害その他やむを得ない理由によって、申告や納付などが期限までにできないと認められるときは、その理由のやんだ日から2月以内に限り、その申告等の期限が延長されることがあります(国税通則法第11条)。

◇具体例として

所得税の確定申告を例にすると、3月15日が土曜日の場合、3月17日月曜日まで延長されます。

また、10月31日が決算期の法人の申告と納税は、翌年1月4日となり、12月29日から翌年1月3日までの期間は延長されます。

なお、1月4日が土曜日や日曜日だと、翌週の月曜日まで延長されます。

災害その他やむを得ない理由によって期限が延長される場合は次の3つがあります。

この場合、法定申告期限、法定納期限その他の期限が延長された場合は、その延長された期限が法定申告期限、法定納期限その他の期限となります。

1. 地域指定:都道府県の全部又は一部にわたって、災害その他やむを得ない理由により申告等ができないときは、国税庁長官が職権で地域及び期日を指定します

2. 対象者指定:災害その他やむを得ない理由により、電子申告その他の特定の税目に係る申告等をすることができないと認められる者が多数に上るときは、国税庁長官が職権で対象者の範囲及び期日を指定します

3. 個別指定:災害その他やむを得ない理由が個別の納税者にあるときは、納税者の申請により、税務署長などが期日を指定します

地域指定により期限が延長された最近の例としては、令和2年7月豪雨に係るもの、令和元年東日本台風(台風第19号)に係るものがあります。

対象者指定により期限が延長された最近の例としては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、令和元年分及び令和2年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税等の申告期限及び納期限等が延長されました。

◇おまけ~法定納期限等~

「法定納期限」や「具体的納期限」の他に、「法定納期限等」があります。
法定納期限等とは、国税又は地方税と競合する私債権の担保権を設定しようとするときに、どちらの債権が優先劣後するかといった関係を判定する際の基準となる日です(国税徴収法第15条)。

国税徴収法第8条では、「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だって徴収する。」と規定されています(国税優先の原則)。

一方で、国税債権の確保と私法秩序の尊重との調和を図るため、国税の優先権の制限及び滞納処分に当たっては、第三者の権利を保護するための措置が採られています。

ところで、国税による差押えや交付要求と民法等の私法上の担保物権が、納税者の同じ財産上で競合した場合に、その換価代金をどちらに優先的に配当するかという問題が生じます。

そこで、例えば、差押えに係る国税の法定納期限等以前に質権が設定されているときは、質権により担保される債権は、国税に優先して配当を受けることができることになっています。

これにより、担保物権を有する者は、具体的に国税の存在を知ることができる時期である法定納期限等を基準として、この法定納期限等よりその担保物権が早く設定されているか遅く設定されているかといった関係を判定し、担保権者の権利が不当に損なわれないように図られています。


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