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有馬記念 キタサン最強枠で勝利狙う 投資なら“はずれ馬券”も経費なのか?

12月25日に中山競馬場で行われる「第61回GI有馬記念」の枠順抽選会が12月21日、東京・品川プリンスホテルで行われた。天皇賞(春)、ジャパンカップに続く今年GI・3勝目を狙うキタサンブラックは1枠1番に決まった。一攫千金を狙う競馬ファンも少なくないが、競馬といえば、「投資」なのか「ギャンブル」なのか争われていた裁判もあり、競馬における「投資」判断の基準が気になるところだ。

勝利を呼び込む最強枠「1枠1番」!?

12月21日、有馬記念アンバサダーであるニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手を迎え、有馬記念の枠順抽選会が行われた。出走予定馬に騎乗するジョッキーも自ら抽選を行い、その結果、天皇賞(春)、ジャパンカップに続く、今年GI・3勝目を狙うファン投票1位のキタサンブラックは1枠1番、有馬記念連覇を目指すゴールドアクターは1枠2番、菊花賞馬のサトノダイヤモンドは6枠11番に決まった。
<枠順>
1-1 キタサンブラック(武豊)・・・・・・・・重賞:6勝(GI3勝)
1-2 ゴールドアクター(吉田隼人)・・・・・・重賞:4勝(GI1勝)
2-3 ムスカテール(中谷雄太)・・・・・・・・重賞:1勝(GI0勝)
2-4 ヤマカツエース(池添謙一)・・・・・・・重賞:4勝(GI0勝)
3-5 サムソンズプライド(横山典弘)・・・・・重賞:0勝(GI0勝)
3-6 サウンズオブアース(M・デムーロ)・・・重賞:0勝(GI0勝)
4-7 マルターズアポジー(武士沢友治)・・・・重賞:1勝(GI0勝)
4-8 ミッキークイーン(浜中俊)・・・・・・・重賞:2勝(GI2勝)
5-9 ヒットザターゲット(田辺裕信)・・・・・重賞:4勝(GI0勝)
5-10 アドマイヤデウス(岩田康誠)・・・・・重賞:3勝(GI1勝)
6-11 サトノダイヤモンド(C・ルメール)・・・重賞:3勝(GI1勝)
6-12 サトノノブレス(V・シュミノー)・・・・重賞:4勝(GI0勝)
7-13 デニムアンドルビー(バルザローザ)・・重賞:2勝(GI0勝)
7-14 シュヴァルグラン(福永裕一)・・・・・重賞:2勝(GI0勝)
8-15 アルバート(戸崎圭太)・・・・・・・・重賞:2勝(GI0勝)
8-16 マリアライト(蛯名正義)・・・・・・・重賞:2勝(GI2勝)

今年の賞金額は、1着、3億円、2着、1億2千万円、3着、7500万円、4着、4500万円、5着、3千万円。国内のレースの中では、ジャパンカップと並び高額賞金が設定されている。
注目はキタサンブラック。実力もさることながら、1枠1番という“最強の枠”を抽選で引いた。キタサンブラックはこの枠番からのレースで、これまで4戦して負けなし。今年のGI・3勝目へ強烈な追い風が吹いてきた。ただ、過去10年の枠番データでは、1枠1番は1勝、2着1回と連対馬2頭が出ているもののそれほど良い枠ではない。競馬ファンならご存知だろうが、3枠6番は過去10年で1勝・2着2回・3着2回、2枠4番は2勝・2着1回、3着1回だ。
さて、今年グランプリを手にするのは、一体どの馬なのか注目だが、税金の世界では、ハズレ馬券の購入費を、必要経費として計上できるか法定で争われ、2013年大阪地裁での判決を皮切りに、高裁、最高裁で納税者側に軍配を上げている。

「一時所得」「雑所得」の判断基準は・・・

そもそも、馬券の払戻金は原則、偶然発生した所得ということで「一時所得」に該当し、その場合はアタリ馬券の購入費だけが経費として認められる。
大阪地裁で争われていた裁判は、元会社員が2007年から09年の間、インターネットで28億7千万円の馬券を購入し、払戻金30億1千万円を得た。一時所得しての申告義務があったものの、これをこの社員は怠ったことから大阪国税局より6億4千万円の所得税が課税され、検察は払戻金を申告せず5億7000万円を脱税したとして起訴。大阪地裁は所得税法違反は認めて、懲役2月・執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。しかし、脱税額については「利益は外れたレースも含めて継続的に馬券を購入してきた結果によるもので、当たった馬券の購入代だけでなく、ハズレ馬券の代金も必要経費になる」という元会社員側の主張を認め、約5200万円に減額した。この裁判、2015年3月には、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)で、元社員の購入手法を「営利目的の継続的行為」として雑所得にあたるとし、30億円近いハズレ馬券の購入費を所得から控除できる必要経費と例外的に認定すると判断。その上で申告すべき課税額を約5200万円と大幅に減額した1、2審判決を支持、検察側の上告を棄却した。
このほか、納税者側が勝訴したケースとして、すでにKaikeiZineサイトでも報道した高裁判決「外れ馬券裁判で逆転判決 自動購入ソフトなしでも雑所得扱い」https://kaikeizine.jp/article/1616/がある。この高裁判決が注目されるのは、雑所得と認定される判断目安を示したこと。この高裁判決の前の東京地裁判決は、最高裁判決の2カ月後にあった。東京地裁は、馬券購入者である北海道の男性について「レースごとに自分で予想して購入額を決めており、機械的とはいえない」と指摘。配当金についても「個別の馬券的中による偶発的な利益の集積にすぎず、一体の経済活動とまでは認められない」として、一時所得に当たると結論付けた。最高裁判決との違いについては「馬券の購入履歴などが保存されていないため、最高裁判決の当事者のように機械的、網羅的に購入していたとまでは認められない」とし、同じ馬券の大量購入でも購入方法によって判断が分かれていた。ところが高裁は、「男性には馬券を有効に選ぶノウハウがあり、恒常的に多額の利益を上げていた。外れ馬券を含む一連の馬券購入には経済活動の実態がある」と認定。雑所得としてハズレ馬券を含む購入費の全額を必要経費に算入した男性に軍配を上げた。
前述の裁判で納税者に軍配が挙がったのは、雑所得とならない例外として「『営利を目的とする継続的行為』に該当すると認定されれば、ハズレ馬券の購入費も経費となる」という理由から。難しいのは、どの程度の規模や金額になれば雑所得と認められるのかということ。国税OB税理士は、「形式基準ではなく、実態から判断される」と言うものの、そもそも国税当局も「経済行為かそうでないか」の認定はかなりの証拠・理由付けが必要だ。判例や裁判例からも、“経済行為”の判断についてはグレーな部分が多い。

著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は租税研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャーとしても活動。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/
■KaikeiZine
https://kaikeizine.jp/

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