国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

会計人ニュース

注目キーワード

  • KaikeiZine
  • 税金・会計ニュース
  • 元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:「国外居住親族」を扶養控除等の対象にする場合の留意点

元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:「国外居住親族」を扶養控除等の対象にする場合の留意点

最近では外国人を雇用する企業も増えています。年末調整で国外に居住している親族を扶養控除等の対象にしようとする場合、「親族関係書類」や「送金関係書類」の提出又は提示が必要になるなど、要件が厳しくなっています。

■「国外居住親族」を扶養控除等の対象とする場合の要件

扶養親族とは、所得税法で、「居住者の親族でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が38万円以下である者」となっています。

この「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではなく、たとえ日常の起居を共にしていない場合であっても、例えば「親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合」には、生計を一にしているとされます(所基通2-47)。

ここで注意しなければならないのが、国外に居住する親族を扶養控除等(扶養控除、配偶者控除、障害者控除又は配偶者特別控除)の対象とする場合です。

平成27年度の税制改正により、年末調整において「国外居住親族」を扶養控除等の対象にする場合には、その国外居住親族に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」(これらの書類が外国語で作成されている場合には、翻訳文を含む)を会社に提出又は提示しなければならないこととされました。

同様に、確定申告において「国外居住親族」について扶養控除等の適用を受ける場合にも、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を確定申告書に添付するか、又は確定申告書の提出の際に提示しなければならないとされました。

■「親族関係書類」とは

「親族関係書類」とは、次の①又は②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

①戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し。
②外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る。)→例えば、戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書が該当します。

■「送金関係書類」とは

「送金関係書類」とは、次の書類で、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

①金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類

②いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類

「送金関係書類」には、具体的には、「外国送金依頼書の控え」や「クレジットカードの利用明細書」などが該当します。「クレジットカードの利用明細書」とは、本人がクレジットカード発行会社と契約を締結し、国外居住親族が使用するために発行されたクレジットカードで、その利用代金を本人が支払うこととしているもの(いわゆる家族カード)に係る利用明細書をいいます。

■「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の様式も変更されています

平成28 年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」から、以下のように国外居住親族に係る記載事項が追加されているので、注意が必要です。

■実務上の注意点

「国外居住親族」を扶養控除の対象とするためには、現実に国外居住親族に送金しているという実態が必要になります。ここで注意したいことは、扶養控除等の適用を受けようとする国外居住親族が複数いる場合に、一人の代表者にまとめて送金しているような場合です。この場合に扶養控除の対象にできるのは、その代表者のみとなってしまいます。複数の国外居住親族全員を扶養控除するには、各人に個別に送金する必要があります。

セミナー開催のお知らせ

 

【12/5開催】電子政府で最先端を進むエストニア デジタル化で変貌する士業事務所の役割
~法律・税務・会計ニーズを現地経営コンサルタントと税理士がそれぞれの目線で語る~

1部「電子政府がもたらした企業・士業事務所への影響」
講師:eSparQNow Founder & CEO
小森 努(ガブリエル)氏

2部「エストニア視察で分かった 税理士がエストニアから学ぶべきこと!」
講師:一般社団法人租税調査研究会 主任研究員
多田恭章 税理士

詳細はこちらから≫≫
https://kaikeizine.jp/article/7874/

【12/8開催】今押さえておきたい税務調査対応 中小企業に関係する国際税務の基礎知識
講師:一般社団法人租税調査研究会 主任研究員
多田恭章 税理士

詳細はこちらから≫≫
https://kaikeizine.jp/article/7877/

bt_toiawase1

著者: 多田恭章

租税調査研究会 主任研究員

元国税庁国際業務課主査。
中小企業に対する税務調査や国際税務に関する経験等をフルに活かし、企業の方々の抱える疑問や不安を少しでも解消できるよう、適切なアドバイスをしていきたい。
■税と経営の顧問団租税調査研究会
https://zeimusoudan.biz/

ページ先頭へ