徴収共助の要請過去最多を記録

近年増加の一途にある海外への財産の移転による国際的徴収回避に対応するため、CRS情報など租税条約に基づく情報交換制度を活用して滞納者の国外財産を把握するとともに、国内に徴収できる財産がないことなどの租税条約上の要件を満たす事案に対して各国の税務当局が協力して相手国の租税を徴収する「徴収共助制度」が平成25年に導入されている。元年度では、制度の導入以来最も多い29件を要請しており、その要請に係る滞納額は約37億円に達している。

事案としては、東京国税局管内で既に事業を停止していた滞納法人について、国外財産を把握し徴収共助を要請して滞納国税の全額を徴収したケースがある。これは、日本での財産調査により、滞納法人が国外の投資組合に出資し、支払請求権を有しており、その分配金が近日中に支払われる見込みであることを把握したことから、租税条約に基づき相手国に徴収共助を要請。相手国が、速やかに分配金支払請求権の差押えが行い滞納国税の全額約800万円が徴収されている。

滞納残高はピークの4分の1まで減少

新規滞納の抑制及び滞納整理の促進により、元年度も新規滞納額5528 億円を滞納整理済額6091億円が上回ったことから、今年3月末における滞納整理中のものの額(いわゆる滞納残高)は7554億円と前年度に比べ6.9%減少し8千億円を割った。この結果、連続減少記録を21年連続まで伸ばすとともに、バブル崩壊後にピークを迎えた平成10年度の2兆8149億円の26.8%と約4分の1まで減少させている。

「令和元年度租税滞納状況について」2頁

なお、次回公表される2年度租税滞納状況では、今回よりも新型コロナの影響は大きいことが予想されることから、滞納残高の22年連続減少や新規滞納発生額の減少は微妙なところだ。


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